タワーレコード
1.パステル・シェイド(JIRO YOSHIDA)
2.レミニッセンス・オブ・アヴェニューJ(JIRO YOSHIDA)
3.マイ・ビーティング・ハート(JIRO YOSHIDA)
4.ヘヴン・イズ・ザ・プレイス・ユー・キャン・ゴー(ANDY EZRIN)
5.チョイス・オブ・ワーズ(WERNER GIERIG)
6.朝日のごとくさわやかに(SIGMUND ROMBERG)
7.スノウ・ダンス(JIRO YOSHIDA)
8.マイ・ライト・サイド(JIRO YOSHIDA)
9.ヴェラス(IVAN LINS)
10.シャドウライン(OLE MATHISEN)
11.ラスト・グッド・デイ(ANDY EZRIN)
12.ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング(MICHEL LEGRAND)
オレ・マティセン(sax)、アンディ・エズリン(p)、ヴァーナー・ガーリック(p)、クリヤマコト(p)竹下清志(p)
福岡県京都郡苅田町(きょうとぐんかりたまち、ではなく、みやこぐんかんだまち)出身の世界的ギタリスト、吉田次郎。自動車工場を主にした工場地帯で、田舎町ですが、サッカーの大久保嘉人、バドミントンの潮田玲子と世界的に活躍する人を生んでいる町。お隣北九州市出身の私にはとても親近感がわきます。
ギターはロック、ザクザクのリフだったり泣きのギターが好きな私にはジャズギターはどうも物足りなく、好きではなかったのですが、THREESOMEの2枚のアルバムで吉田次郎のプレイを聴いて魅了され、このアルバムを購入。
このアルバムの存在は知っていたのですが、試聴してもイージーリスニング的な、BGM的な退屈なアルバムかなと思いパスしてました。今にして思えばなんという見当違い。
(Amazonレビューでのmackyさんの「イージーリスニングの皮をかぶった超芸術」が適格な表現かも)
「低音高音、全ての音が美しく聴けるハイレゾ/DSD録音なので、ギターよりもレンジの広いピアノの響きも残したかったんですよ。ピアニストをひとりに絞らなかったのは、共演者を変えることで自分のアプローチに変化が生まれ、アルバム全体の色彩が豊かになるからです」
「パステルシェイド」のタイトルとジャケットイメージ通り、原色ではなく淡い色で統一された哀愁漂う作品。ギターとピアノ、もしくはギターとサックス(4のみギター、ピアノ、サックス)、とシンプルながら、曲毎にピアニストが違い、また吉田のギターもナイロン、スティール、エレキと音色が違い、統一感は有りながらも多彩。アレンジも凝りに凝り、聞き流せばメロディアスで心地よい音楽ですが、よく聴くと凄い演奏。
一曲一曲が情景が浮かんでくるメロディ、短編映画を見ているかの様で、想像力が豊かになり、時には自分の想い出を曲にリンクさせ、涙ぐんでしまう。美しいメロディに、つい自分の想い出が美化されてしまいます(笑)
タイアップ曲で映画やドラマのシーンを思い出す事や歌詞に共感する事はよくあるでしょうが、曲だけで情景が浮かぶ、聴く人の感性でそれぞれのストーリーが浮かぶ。
クリエイティブを刺激する作品と言えるでしょう。なので、この曲がどうとか言うより、聴いて感じて貰いたいと思います。
「とにかく良い音で録りたかった」と言うだけあって音色、臨場感、音と音の間まで美しい。参加ミュージシャン全員がマイクの位置まで妥協を許さない徹底した拘りだったらしく、聴けば聴くほどに引きずり込まれる。一部重ね録り以外は一発録りのDSD録音。
シンプルが故、ややもすれば退屈になりかねない内容ながら、吉田のギターは歌心があり、表現力に長け、リズムがあり、そして美しい音色がそうはさせない。ここまで聴かせ、酔わせ、泣かせ、感動出来るギタリストはそうはいないはず。
ジャンルはジャズにカテゴライズされているものの、「基本的に自分はジャンル分けされるのが好きではない。表現の方法はその楽曲に応じて変えている。だから、ジャズもあればクラシックもある」と本人が語る様に、好みのジャンルを問わず音楽好きに聴いて欲しい。
オーディオ的にも「もっと良い音で聴きたい」と再生機の強化を促される作品。再生環境が良くなれば良くなる程、この作品の神髄を味わう事が出来るのではないか。オーディオ文化の未来はこういう作品が増える事だと思います。オーディオについては各々持論がありましょうが、私は良質な音源あってのオーディオだと思っています。
将来プロミュージシャンを目指す若い人にも聴いて欲しい。「プロフェッショナルとは何ぞや」の答えのひとつがここにある。
produced by 杉田元一&吉田次郎
Recorded by STUDIO PLATONIC JAPAN & AVATAR STUDIO NEW YORK
Recorded by 吉田次郎&CHRIS SULIT
Mixed by 藤塚雄一
Mastered by 鈴木浩二