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クリーヴランド管自主レーベル第二弾 ウェルザー=メスト~シューベルト《グレイト》&クルネシェク:10の楽章

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シューベルト: 交響曲第9番、クルシェネク: Statisch und ekstatisch

フランツ・ウェルザー=メスト クリーヴランド管弦楽団

タワーレコード

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Schubert and Křenek - new Cleveland Orchestra album

 

世界がたいへんな時代に産声を上げたクリーヴランド管弦楽団のレーベル、TCO。注目の第2弾は、2020年3月という、まさにコロナ禍の中行われた特殊な演奏会の記録の登場となりました。2020年3月12日木曜の午前、オーケストラの事務局長は、12日と13日の演奏会はホールは開けず、政府から100人以上での集まりを禁止する旨が発表されたことを受け、一部のパトロンとスタッフだけを客席に入れての演奏会、そして13日の演奏会も同様に何名かのスタッフだけがセヴェランス・ホールの真っ青な客席に座った状態で演奏は行われました(ちなみにこの後しばらくセヴェランス・ホールは閉鎖されました)。極限まで集中した中で演奏は行われ、メストは、この演奏は自分の中でも稀有のもので、生涯忘れられないものになる、と語っています。クルシェネクの作品は2020年5月に予定されていたオーストリアへのクリーヴランド管のツアーでも予定されていた作品で、それとシューベルトを合わせて組まれたプログラムです。
クルシェネクの作品は厳密でひりひりするような緊張感と、様々な要素が複雑に組み合わされた、奏者に極度の集中を要する作品。この演奏会の特殊な状況、そしてクリーヴランド管のメンバー一人ひとりの卓越した能力があったからこそ為し得た稀有の名演が展開されています。
シューベルトはメストにとっても特別な作曲家。ディテールのひとつひとつに注意を払い、それらを注意深く創意豊かに発展させつつ、メランコリー、あこがれ、そして悲しみといったさまざまな感情が込められたシューベルトの作品を、ほぼ無聴衆の特殊な演奏会という状況で演奏することによって、シューベルトの作品がもつ孤独のようなものがより濃厚に表れている瞬間もあるように感じられます。今なお続く不安な状況に、メストとクリーヴランド管からの心からの共感と、極上のエールのようにも響く稀有の演奏となっております。
キングインターナショナル

【曲目】
シューベルト:交響曲第9番 ハ長調 D944「ザ・グレイト」
・クルシェネク:Statisch und ekstatisch, Op.214(静的で恍惚とした)~室内オーケストラのための10の楽章

【演奏】
フランツ・ウェルザー=メスト(指揮)
クリーヴランド管弦楽団

【録音】
2020年3月12,13日/クリーヴランド、セヴェランス・ホールでのライヴ録音

 

 

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