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SACDに特化した偏屈ブログ

鬼才リンドベルイが作曲した管弦楽のための作品集

クリスチャン・リンドベルイ: 管弦楽のための作品集
クリスティアン・リンドベルイ 、 ロイヤル・フランダースフィルハーモニー管弦楽団

タワーレコード

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SACDハイブリッド盤。スウェーデントロンボーン奏者、クリスチャン・リンドベルイ Christian Lindbergは、近年、「作曲家」として注目されることが多くなり、各国のオーケストラやプレーヤーから委嘱される音楽の作曲に意欲的に取り組んでいると言います。彼がアントワープ交響楽団を指揮して2018年に録音した新しいアルバムでは、10年以内に作曲された3つの管弦楽曲が演奏されます。《ウロンゴンの波》は、オランダの若いプレーヤーたちが2001年に結成した「ニュー・トロンボーン・コレクティヴ」と共演するための作品としてロッテルダム・フィルハーモニックから委嘱を受け、作曲されました。作曲のヒントとなったのは、オーストラリア南東部沿岸の都市ウロンゴンで実際に目にした、ニュージーランドのホークス・ベイからタスマン海を越えて押し寄せる波。その大小さまざまな波の姿をニュー・トロンボーン・コレクティヴの9本のトロンボーンに変える音楽が生まれます。「祝いの花火」に終わる音楽をリンドベルイは、BIS RecordsのCEO、フォン・バールに献呈しました。
リヴァプールの子守歌》は、デイムの称号を授かった打楽器奏者エヴェリン・グレニー Evelyn Glennieとリンドベルイ自身のトロンボーンの「二重協奏曲」として指揮者ジョン・ラボックから依頼を受けた作品です。クリスチャンが6歳の時、ビートルズの大ファンだった母親が子守歌に歌ってくれた歌の「胚芽」をベースに作曲。名高い音楽祭のひとつ「チェルトナム・フェスティヴァル」で、グレニーとリンドベルイが、ラボックのオーケストラ、セント・ジョンズ・スミス・スクエア管弦楽団と共演して初演しました。
《2017》は、2013年、フランダース・フィルハーモニック(現、アントワープ交響楽団)のヘールト・リームとハンス・フェルブークトからストラヴィンスキーの《春の祭典》をモデルにした同規模の管弦楽曲について打診され、さまざまな状況から作曲が延び延びになってしまっていた作品です。作曲のきっかけは、2016年11月のアメリカ大統領選挙だったと言います。「世界が、突然ひっくりかえり……2016年11月8日から2017年1月1日までの間、あまりのショックに心理的に麻痺してしまった」。そして「2017年」の最初の日にアイデアが浮かび、一年かけて作品を完成させます。〈The World Upside Down(ひっくりかえった世界)〉〈Lonely Creatures(孤独な生き物)〉〈Fake News(フェークニュース)〉〈Inner Soul(内なる魂)〉〈The Bragger(自慢屋)〉〈Reflection(反響)〉〈Train from Hell(地獄発の列車)〉の7曲で構成した約33分の作品。アメリカ、MSNBCのテレビ番組のキャスターを務めるジャーナリストのレイチェル・マドウ(マドー)に献呈されました。
キングインターナショナル

【曲目】
クリスチャン・リンドベルイ(1958-):
(1)ウロンゴンの波(The Waves of Wollongong)(2006-09)~9本のトロンボーン管弦楽のための*
(2)リヴァプールの子守歌(Liverpool Lullabies)(2015-16)~トロンボーン、打楽器と管弦楽のための**
(3)2017~管弦楽のための

【演奏】
アントワープ交響楽団
クリスチャン・リンドベルイ(指揮、トロンボーン **)
ニュー・トロンボーン・コレクティヴ
【アレクサンデル・フェルベーク(アルト・トロンボーン)
アレックス・ガルシア(アルト・トロンボーン)
ダニ・キエレス・カスカント(アルト・トロンボーン)
セバスティアン・ケムネル(テナー・トロンボーン)
ホセ・ルナ・アグード(テナー・トロンボーン)
バネッサ・バイレーン(テナー・トロンボーン)
ブラント・アッテマ(バス・トロンボーン)
マルク・ボーンストラ(バス・トロンボーン)
ロエル・アーフォンズ(バス・トロンボーン)】*
エヴェリン・グレニー(打楽器)**

【録音】
2018年9月
エリザベートホール(アントワープ、ベルギー)

制作:ロバート・サフ
録音:シュテファン・レー

 

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