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SACDに特化した偏屈ブログ

マルティン・フレストとエサ=ペッカ・サロネンのコラボレーションで生まれた現代のスウェーデンの音楽シーンの代表格イェスペル・ヌーディンの作品の初演ライヴ録音

イェスペル・ヌーディン: 「潮流と波浪の間から出現する」
マルティン・フレスト 、 エサ・ペッカ・サロネンスウェーデン放送交響楽団

タワーレコード

 

SACDハイブリッド盤。スウェーデンの音楽シーンでは、ロック、即興音楽、民俗音楽といったジャンルを背景にもち、情感に強く訴えかける音楽を作る《バーバンクの変わり者》(BIS SA-2483)

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のアルベット・シュネルツェルに代表される1970年代生まれの作曲家たちが注目を集めています。イェスペル・ヌーディンもそのひとり。スウェーデン放送交響楽団が初演した《Roster: trilogy for orchestra(声:管弦楽のための三部作)》(2015)のような北欧のアンサンブルのための作品のほか、ストラスブールの「フェスティヴァル・ムジカ」で初演された《Visual exfor-mation》(2016)など、海外の音楽祭やオーケストラの委嘱作も手がけています。2010年には「独創性と不屈の好奇心をもち、アコースティック空間を探求し拡大する音の魔術師」として王立スウェーデン音楽アカデミーの賞も受けました。

ヌーディンの《Emerging from Currents and Wave(潮流と波浪の間から出現する)》は鬼才クラリネット奏者のマルティン・フレスト(マッティン・フロースト)、指揮者エサ=ペッカ・サロネンのコラボレーションから生まれた作品。「ソーシャル・メディア、バーチャル・リアリティ、AIの出現は、われわれの文化にかぎらず社会の全体に変化をもたらしている……そうした変化の真っただ中にいるわれわれは、どんなやり方をすれば、芸術と芸術表現とその実践に新しいテクノロジーの力を利用することができるのか……」とヌーディンは語っております。大編成の管弦楽、ソロ・クラリネット、指揮者とライヴ・エレクトロニクスのために書かれた本作は、コンサートではリアルタイムのヴィジュアル効果も用いられました。サロネンに献呈された〈Currents(潮流)〉と〈Waves(波浪)〉の間にフレストに献呈された〈Emerging(出現する)〉をはさむ3つの部分による構成。「クラリネット協奏曲」の〈Emerging(出現する)〉では、作曲者のデザインした対話式(インタラクティブ)音楽ツール「Gestrument(ジェストルメント)」(「gesture instrument(ジェスチュア・インストルメント)」)をクラリネット奏者と指揮者が「演奏」するようスコアに指定されています。

2018年8月31日にストックホルムのベールヴァルドホールで行われた初演にはIRCAMのサウンド・マネージャーとしてカイヤ・サーリアホたちのコンサートに協力したマルタン・アンティフォンと作曲家のセバスチャン・リヴァスの技術チームが参加。「無限の可能性をもつように見えるテクノロジーが、伝統への架け橋としても使えるのか」という問いへの答えが探られました。
キングインターナショナル

【曲目】
イェスペル・ヌーディン(1971-):
Emerging from Currents and Wave(潮流と波浪の間から出現する)
クラリネット管弦楽とライヴ・エレクトロニクスのための(2018)
(1) Currents(潮流)(第1部)
(2) Emergng(出現する)(第2部)(クラリネット管弦楽とジェストルメントのための)
(3) Waves(波浪)(第3部)*

【演奏】
マルティン・フレスト(クラリネット、ジェストルメント)
スウェーデン放送交響楽団、エサ=ペッカ・サロネン(指揮、ジェストルメント)
マグヌス・ホルマンデル(クラリネット・ソロ)*

【録音】
ライヴ録音
2018年8月31日
ベールヴァルドホール(ストックホルムスウェーデン)

プロデューサー:ヤン・B・ラーション(スウェーデン放送)
レコーディング:スタファン・ショイエル(スウェーデン放送)
サウンド・エンジニア:マルタン・アンティフォン(Music Unit)
コンピューター・ミュージック・デザイン:セバスチャン・リヴァス

 

イェスペル・ヌーディンの作品はこちらにも収録

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