VIVA!SACD

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SACDに特化した偏屈ブログ

ミュンシュ最晩年のEMIへのパリ管との全録音を3枚組に集成。 歴史的名盤を音質面含め音楽的な見地に立って再構築。新規で本国オリジナル・アナログ・マスターテープより復刻

シャルル・ミュンシュ&パリ管弦楽団 録音集 1967-68<タワーレコード限定>
シャルル・ミュンシュ 、 パリ管弦楽団

タワーレコード

 

ミュンシュがパリ管の初代首席指揮者に就任していた1年ほどの間に旧EMIに収録した録音は、いずれもクラシック音楽史に残る演奏として高く評価されています。
記念すべき第1回演奏会の直前に録音が行われた「幻想交響曲」に始まり、1968年に亡くなる前月に収録していたラヴェル作品の録音まで、これまで何度も発売されてきた名盤に敬意を込め、新たな響きで蘇らせるべく今回当企画では珠玉の全8曲を音質面含め音楽的な見地に立って再構築を行いました。
本国オリジナルのアナログ・マスターテープから192kHz/24bitでデジタル化したマスターを用い、SACD層、CD層別々にマスタリングを行いました。新規解説付。永久保存盤です。

シャルル・ミュンシュ(1891.9.26-1968.11.6)がパリ管弦楽団の初代首席指揮者に就任していた1年ほどの間に旧EMIレーベルに録音を行った、LP4枚分を3枚組に集成した最新復刻盤。
パリ管弦楽団は当時のフランス文化省の大臣であるアンドレ・マルロー等の要請に応じて1967年に設立されミュンシュが首席指揮者に就任しましたが、残念なことに両者がアメリカ公演を行っていた最中である1968年11月にミュンシュは亡くなってしまいました。期待されたセッション録音は僅か8曲のみではありましたが、そのどれもが珠玉の演奏であることはご存知の通りです。
レコード史的にも最重要録音となっており、これまで何度も再発が繰り返されてきました。特に代表的な録音である「幻想交響曲」と「ブラームス:交響曲第1番」は複数のSACDがリリースされており、音源としての注目度の高さが伺えます。

幻想交響曲」は両者による初の録音となった音源であり、収録後の11/14にはシャンゼリゼ劇場でのデビュー・コンサートの1曲目を飾った記念碑的な曲です。
この時の空前絶後のライヴは、数年前に音源がリリースされたことで演奏の奇抜さや即興性も含め多くの聴き手を驚かせました。
ライヴならではの感興はもの凄いものがあるもののそれと比べればおとなしいとは言え、直前のセッション録音が色褪せることは決してありません。完成度の高さは言うまでもなく、後のライヴの萌芽も至る所に散見されるので、入念な作り込みをしていたことがわかります。
RCAへのボストン交響楽団との2つのステレオ録音と比較しても、このパリ管との音源はミュンシュらしい感性と一種祝祭的な雰囲気の中、セッション録音であることを忘れさせるような一期一会さを感じます。その意味では2作目となった1か月後の収録である「オネゲル:交響曲第2番」もまた、緊迫度の高い演奏です。
突然この曲を入れた真意はわかりませんが(半年前にはフランス国立放送管弦楽団とERATOレーベルに同じ作曲家の交響曲第4番を収録)、曲の依頼者であり初演者でもあるパウル・ザッヒャーと並んで、ミュンシュオネゲル演奏の最右翼のひとりであることに疑いの余地はありません。
セッションは1日で行われており、熱い演奏はまさにミュンシュならではです。

続いて収録された「ブラームス」もまた、ミュンシュの代表的録音のひとつでしょう。オネゲルの翌月、年を挟んで1968年1月に収録が行われたこの曲ではパリ管との距離も一段と縮んだのか、アンサンブルの向上も見られます。
綿密な準備を元に録音が行われたと思われ、堂々としたテンポ設定とその恰幅の良さはフランスのオケとは思えない出来です(とは言え、フランスでは早い時期からブルックナーも含めドイツ音楽を多く演奏してきていますが)。
両者が唯一残したフランス音楽以外の曲ということでも貴重な音源となりました。そして、ミュンシュが亡くなる約1か月半前から計6日間にわたって収録されたラヴェル作品5曲も秀逸です。まさに最高潮と言って良い出来であり、これこそフランス音楽の神髄に迫る演奏と言っても過言ではないでしょう。
パリ管の前身であるパリ音楽院管時代のクリュイタンスの演奏と比較してより自由度を得た、さらに世界へ飛躍しようという意向が反映されたかのような、新時代を告げる録音ということを強く感じさせます。
いずれにしても、当時のフランス楽壇の粋を集めた最高の演奏と言えるのではないでしょうか。尚、今回のジャケット・デザインは、発売当時ミュンシュの追悼盤となったラヴェルオネゲルを含んだLPのものを使用しました。

今回の復刻ではこれまでの当企画と同様、本国のアナログ・マスターテープに遡って最新の復刻を行っています。直近では2018年に輸入盤のBOXが発売されており、その時も新規で96kHz/24bitでのデジタル化が行われている音源を使用していました。
対して、今回は初めて192kHz/24bitでの高音質音源を採用しています。それにより、従来以上の緻密さと表現の幅の拡大、音場の向上が感じられると思います。マスターテープのコンディションも良好でした。もちろんマスタリング・エンジニアの腕も重要な要素であることは変わりありません。その意味では、今回の復刻は決定稿を目標としました。
従来あった、マスターテープの依存度が大きくバランス面で多少偏りを感じさせる音源やメリハリを強調したものではなく、マスターテープを基準としながらも現代の高解像度な機器にも順応した、音楽的な見地に立ったマスター作りを目指しています。
高音質化を行うための最大限のプロセスを施しました。それにより、これらの貴重な遺産が多くの方に聴かれること、そして更なる評価に繋がることを期待します。

このシリーズでは、SACD層では伸びのある高域と柔らかなニュアンスと共に高い解像度と豊かな音場を、CD層はまとまったしっかりとした音と共に押し出される実在感ある音色を目指しています。
CD自体のポテンシャルも高く、むしろ両方の良さを堪能できるSACDハイブリッド盤としてもお楽しみください。今回のDefinition Series第52弾は、1タイトルを発売いたします。

<音源復刻コンセプト>
当企画では、本国より取り寄せた192kHz/24bitのWAVデータを基本に、SACD層用としてDSDに変換後にマスタリングを行い、別途CD層用としてPCMでもマスタリングを施していますので、SACD層、CD層、それぞれ独立したマスタリングとなっています。
PCMで編集した後にDSDにも変換を行う、もしくはDSDで編集した後にPCMにも変換を行うといった1回のマスタリング作業で兼ねるのではなく、SACD、CD、それぞれの特徴や音質を重視した上で、個別にマスタリングを行いました。
その際、過去に発売された音源と極力比較する検証も行なった上で、音楽を最大限に生かすべく、オリジナルのアナログ・マスターテープを尊重した上での最適なマスタリングを心がけています。

【曲目】
<DISC1>
1. エクトル・ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
2. モーリス・ラヴェル:「ダフニスとクロエ」 第2組曲

<DISC2>
3. モーリス・ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
4. モーリス・ラヴェル:スペイン狂詩曲
5. モーリス・ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
6. モーリス・ラヴェル:ボレロ

<DISC3>
7. ヨハネス・ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 Op.68
8. アルテュールオネゲル:交響曲 第2番(弦楽とトランペットのための)

【演奏】
ミシェル・デボスト(フルート)(2)
ニコール・アンリオ=シュヴァイツァー(ピアノ)(5)
パリ管弦楽団
シャルル・ミュンシュ (指揮)

【録音】
21-28 Oct.1967(1)
28 Dec.1967(8)
8,12 Jan.1968(7)
21,24,26&28 Sep.&2-3 Oct.1968(2)
21,24,26&28 Sep.&3 Oct.1968 (3-6) Salle Wagram Paris

【Original Recordings】
Producer: Rene Challan、 Balance Engineer: Paul Vavasseur

【原盤レーベル】
Warner Classics(旧EMI音源)

 

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