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SACDに特化した偏屈ブログ

クリスチャン・ヤルヴィ&名門トーンキュンストラー管ベートーヴェンの『第9』マーラー版

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ハイドンの「パリ・セット」(PRCD90765)につづく、プライザーの「トーンキュンストラー・ライヴ」第2弾は、首席指揮者クリスチャン・ヤルヴィによるベートーヴェンの「第9」。2006年秋に、ウィーンのムジークフェラインザールで行われた演奏会の模様を収めたものです。

マーラー編曲版によるベートーヴェンの「第9」】
ベートーヴェン交響曲は、たいていの指揮者にとって単純には解決できない問題をもたらす。そのことをわたしはいよいよ見抜くのだ。ベートーヴェン交響曲は間違いなく、解釈と改訂が必要なのだ。」
1900年の冬、マーラーは友人のナタリー・バウアー=レヒナーに向けてこのように述べています。ひとりの指揮者として、そしてひとりの作曲家として、マーラーベートーヴェンの「第9」を、当時すでに確立されていた演奏方法に遵って演奏することがどうしてもできませんでした。マーラーは、ベートーヴェンの時代とみずからの時代との間に起きた途方も無い、オーケストラ組織全体における技術の発展を考慮したうえで、作曲当時のオリジナルの音響バランスを想定し、「第9」のオーケストレーションをやり直すことに決めました。すなわち、オーケストレーションを増強し、具体的には、ブラス・パートを改良された技術上の発展性に適合させて、倍管をはじめ、さまざまなパートの人数を倍にしたり、フレージングとアーティキュレーションを強めたりと手を加えています。

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【「新クリティカル・マーラー・エディション」にもとづく最初の録音】
ベートーヴェン交響曲といえば、先ごろクリスチャンの兄パーヴォがドイツ・カンマー・フィルとの顔合わせで全集録音を完成させており、2008年に収録された「第9」はベーレンライター版による演奏でした。
 これに対して、おなじく「作品のオリジナルの姿」に立ち返るという立場でも、弟クリスチャンがここでマーラーによる編曲版の楽譜を選択しているのはたいへん興味深いところです。第1弾のハイドンでも、モダン楽器使用の手兵を相手に、持ち前のリズム感のよさと懐の深いアプローチを聴かせていただけに、たとえばアダージョのすいこまれるような美しさやフィナーレでのドラマづくりなど、このたびの「第9」の出来ばえにもおおいに期待が高まります。
 なお、当アルバムは、国際グスタフ・マーラー協会の公認した、ウィーンのウニフェルサル・エディションとの協力により、音楽出版社ヨゼフ・ワインベルガーによる「新クリティカル・マーラー・エディション」にもとづく最初の録音になります。


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【黄金のホール、ムジークフェラインザールでの録音】
さらに、当アルバムのポイントといえるのが、前作に引き続き「黄金のホール」と謳われるムジークフェラインの大ホールにおけるレコーディングである点。
 このたびは、SACDハイブリッド仕様ということで、美しいホールトーンが、よりいっそうご堪能いただけるつくりとなっています。(キングインターナショナル)

【収録情報】
ベートーヴェン交響曲第9番ニ短調Op.125『合唱つき』(マーラー編曲版)
 ガブリエレ・フォンターナ(S)
 バルバラ・ヘルツル(A)
 アルノルト・ベズイエン(T)
 ラインハルト・マイヤー(Bs)
 スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団
 ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団(現ニーダーエスライヒ・トンキュンストラー管弦楽団
 クリスチャン・ヤルヴィ(指揮)

 録音時期:2006年9月29日、10月1日
 録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
 録音方式:デジタル(ライヴ)
 SACD Hybrid
 CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUND

【トラックタイム】
第1楽章:13:41、第2楽章:10:37、第3楽章:12:13、第4楽章:23:13=59:44