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SACDに特化した偏屈ブログ

≪LSO Live≫ 超優秀録音シリーズ再開の第7弾、ゲルギエフ&ロンドン響によるマーラーの第4交響曲

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現代のカリスマ的指揮者、ゲルギエフと手兵LSOによるマーラー・シリーズがいよいよ再開されます。第7作にあたる第4番は、第1番『巨人』(LSO0663)の前日、2008年1月12日にバービカンでおこなわれた演奏をライヴ収録したものです。

【LSOによるマーラーの第4交響曲のレコーディング】
第1番とならんでマーラー交響曲のなかでも、親しみ易い魅力にあふれる自作「歌曲」との関連やサイズがコンパクトなこともあり、いち早く人気を獲得していた第4番。これまでにLSOは、1961年にブリテンとオールドバラでライヴ録音(BBCB8004・廃盤)、1989年にモリスとセッション録音、2002年にはプレヴィンの指揮でライヴ録音(未発売)しています。

ゲルギエフによる個性的なアプローチ】
現代に生きる焦燥と不安を煽り立てるかのようなアプローチを聴かせた第6番(LSO0661)など、これまでのシリーズの流れからもわかるように、第4番もゲルギエフの手にかかるとなにかありそうな予感がよぎります。特徴的なのが第3楽章。
 「緩徐楽章において、ゲルギエフは、音楽に内在する霊感を見失わずに、滞りなく先へと音楽を進めることによって、なにかすぐれた、ほんとうに不思議なことを成し遂げた。そのほかの部分をどう思われたとしても、この演奏はまさにそこに価値があった。」( ガーディアン紙)
 第3楽章の壮絶さでは、ゲルギエフとはタイプは異なるものの、どこか同じロンドンを舞台に異常なマーラー演奏を繰り広げたテンシュテットが1976年に南西ドイツ放送響とおこなったライヴ録音なども思い起こされます。レビューの伝える模様から、その出来ばえにおおいに期待したいところです。

【クレイコムが華を添える第4楽章】
「ラウラ・クレイコムが、「天上の生活」 における子どもがみた楽園のながめをこのうえなくデリケートに歌い上げたフィナーレでようやく、もしかして力強さには不足していたとしても、ほんとうにマーラーの精神が呼び覚まされたのだ。」(タイムズ紙)
 独唱のクレイコムは、2003年にライヴ収録されたティルソン・トーマス盤での歌唱も光りましたが、ゲルギエフ盤ではどのような表現で応えているのかにも注目されます。

【佳境にさしかかるゲルギエフマーラー
マーラーの第4番を彼のシンフォニーの中でもっとも穏やかなものだと思っている人たちは、ゲルギエフの徹底的な演奏解釈によって、その考えに疑問を投げかけられたと気づいたかも知れません。明るくて、のどかな牧歌的であるのとはほど遠く、これはなにか安らかなノスタルジアというよりはむしろ不安や緊張になりがちなものでした。演奏をたいへん魅力的に、そして音楽をひどく気がかりなものにしたのは、おそらく安らぎと懸念との間のこうした苦闘でした。(中略)全般的な印象は、新鮮に表現され、いやおうなしにどっぷりと引きつけるマーラーの第4番でした。」(デイリー・テレグラフ紙)
 ただ、漫然と演奏を受け容れることを許さないところが、いかにもこのシリーズらしさを象徴しているようにも思われます。ますます意識的に挑発するような刺激で迫るゲルギエフとLSOによるマーラー・シリーズも、第5番と第9番の残すところあと2作。なお、ゲルギエフとLSOは、2010年秋のアジア・ツアーのプログラムにマーラーを予定していることからも、これはぜひともおさえておきたいところです。(キングインターナショナル)

【収録情報】
マーラー交響曲第4番ト長調
 ラウラ・クレイコム(ピアノ)
 ロンドン交響楽団
 ワレリー・ゲルギエフ(指揮)

 録音時期:2008年1月12日
 録音場所:ロンドン、バービカンホール
 録音方式:DSD(ライヴ)
 プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン
 エンジニア:ニール・ハッチンソン&ジョナサン・ストーク
 SACD Hybrid
 CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.1 SURROUND