VIVA!SACD

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SACDに特化した偏屈ブログ

サラウンドを聴こう!!

SACDの特徴のひとつに

(最大)5.1chサラウンド

があります

通常のステレオスピーカーに加え、センタースピーカー1台、リアスピーカー2台、そしてサブウーファーは低音のみですので0.1と数えて計5.1ch

サラウンド対応のSACDプレイヤーとサラウンド対応のAVアンプが必要です。

そうなると出費も嵩むし・・部屋は狭いし・・とあまり普及は進んでないですね。
ですが近頃はホームシアターを組むご家庭も増えてきており徐々にですが浸透してきていると思います。


ここで注意点はシアター系によく見られる、センタースピーカーがうんと下に設置されてる例。。この場合ヴォーカルなどセンターから出る音が寝そべって歌ってるみたいになってしまいます。出来ればフロントスピーカーと同じ高さが望ましいです。ですが、置き場に困る場合は他のスピーカーの角度調節など工夫してみてください。べスポジを見つけるのもやってみると楽しいですよ



オーディオマニアなら全てのスピーカーにも凝ってしまうし、アンプも通常のAVアンプじゃダメだ、との出費も嵩みますが、普通の音楽好きの方はリアスピーカーは小さなものでも構わないです。とりあえず5方向から音が出ればいいんです。敷居は低くていいんです。その後の突き詰めはそれぞれですので。
やろうと思えば10万の予算でマルチは組めます。

さて、そこで肝心のソフトです。
やはりサラウンドの凄さを体験するにもソフトが重要です
そこでお薦めは



これは全世界でマイケル・ジャクソン「スリラー」らと共に最も売れたアルバムとして有名なモンスターアルバムですが・・これはサラウンドで本当の世界を聴く事が出来ると言っても大袈裟ではないです。

キングクリムゾン「21世紀の精神異常者」 「リザード」 「レッド」
これはSACDではなくDVDオーディオですが、これもピンクフロイド同様サラウンドで本領発揮です。
特にこれまで地味だし、失敗作とまで言われた「リザード」は単に2chではロバート・フリップのアイデアが表現出来ていなかっただけにすぎなかったんですね

ロック、クラシック、ジャズとあらゆるジャンルを飲み込んだプログレはその制限の無さがアイデアを無限に引き出す究極のジャンルでしたが、2chという制限の中ではアイデアを妥協せざるを得なかった、またそれだけのアイデアを具体化できる優れたアーティストはそんなに居るわけがなく廃れてしまったわけですけども、プログレ再興にはサラウンドでアイデアの壁の解放にかかっていると思います。ロバート・フリップのお気に入りで、キングクリムゾンのサラウンド化のエンジニアとして活躍したポーキュパインツリーのスティーヴン・ウィルソンも自身のバンドでもサラウンドに積極的ですね

日本にも優れたサラウンドがあります



サラウンドによる音楽表現を早くから具体化してきた「世界のトミタ」のSACD盤。尺八奏者の藤原道山とのコラボで見せた究極のサラウンド。冨田氏は最初からサラウンドを想定して曲を作るそうです。それが2chだとそのアイデアを削らざるを得ない。まさに水を得た魚の様に自由な音作りが縦横無尽に駆け巡ります。藤原氏の制限の多い邦楽器とは思えない表現力の豊かさも素晴らしい。


ムーンライダーズ鈴木慶一のソロアルバム。これもサラウンドだと自分も船に乗り込んだかの様です。
普通じゃありえないファンタジーの世界を見事に演出しています。もちろん2chでも優れたロックアルバムですが、サラウンドはとにかく凄い


元ルクプルのヴァーカル、藤田恵美が英語詞でアジアを中心に大ヒットしていた「カモミール」シリーズのベスト。初期PS3のSACD機能の監修などでも有名なかないまる氏によるサラウンドミックス。上から星くずが流れてくるなど部屋一面を覆う見事な音空間



スーパーギタリスト、アラン・ホールズワースの六本木ピットインでのライヴ。あたかもライヴ会場に居るかの様な極上の臨場感。


ロン・カータージャック・ディジョネット、ローランド・ハナというジャズ・ジャイアンツを日野がワンホーンで迎え撃ったライヴ。日野の強力なトランペットがステージから貴方の元へ襲ってくる。実際にライヴで日野のトランペットに圧倒された事がありますが、もう仰け反りそうです


数々の伝説を残した新宿ダグ。そのラストを飾るライヴにまだ1枚しかアルバムを発表していないグレース・マーヤが指名される。2日間のライヴの模様を編集したアルバムですが、これが熱い。しかもサラウンドだともう部屋がダグになります。当時の熱気まで詰め込んだかの様な、一種独特な空間が豊かに拡がります


バロックヴァイオリンの名手で「世界のテラカド」としても有名な寺神戸氏によるバッハ無伴奏チェロ。このアルバムが画期的なのは楽器にチェロではなく、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラという古楽器を使用している事。チェロより小さくヴァイオリンより大きい、スパッラの名が示すとおり肩にかけて演奏するのですが、文献や当時の絵画を見て「ひょっとしてこの曲はヴィオロンチェロ・ダ・スパッラを想定して書かれたのではないか」との思いで製作されたもの。実に画期的で革命的で冒険的な試み。内容は素晴らしく、新鮮な響きです。そしてサラウンドですがこれが凄い。デンオンはサラウンドによる拘りを続けてきたレーベルで、経験と実績とが見事です。凄まじい立体感で目の前で弾いているかのようなリアリティ。これは本当にびっくりしました


サラウンドは大所帯のビッグバンドやオーケストラの表現力に長けていますが、今回は敢えて違うものを紹介しました。というのもオーケストラまで入れると字数が収まりません。プログレ以外は日本の物を紹介しましたが、世界になるともう大変です。特に経験を重なる毎にそのサラウンドの使い方が上手くなってます。何事も経験です。偏見がまだまだ多いサラウンドですが、伝えたい表現をより具体化できるというアーティスト、エンジニアのメリットが大きい事も頭に入れておいて欲しいものです。

ただ、なんでもサラウンドがいいわけではありません。2chでの表現も大切ですし、その方がより伝わり易い場合もあるのです。サラウンド収録アルバムでも2chでの楽しみも忘れてはいけないと思います。

この続きはまたいずれ