1928年(昭和3年)にフランスで発明された電波楽器。音楽家であり、 電気技師でもあったモリス・マルトノ(1898-1980)によって発明される。電気を使った楽器としては、世界で最も古いもののひとつにあげられている。
本体には鍵盤があり、その手前には一本の弦が横に張られている。弦には指輪がついているので、その指輪を動かすことによって音程を変化させ、滑らかなポルタメントやビブラートを生み出す。鍵盤は両端を紐で吊られ浮遊しているので、指先でビブラートをつけながら演奏することが可能である。左側引き出し内にトゥッシュと呼ばれる装置があり、音量や音価を変化させる。その総合的な演奏法は弦楽器に通じるところがあり、様々に変化する微妙な音楽ニュアンスの表現を可能としている。本体の他には三種類のディフューザー(スピーカー)がある。バネや弦、銅鑼などの振動力を用いて独特の残響を作り出す。
演奏者それぞれが独自の音楽表現を生み出すことのできる洗練された楽器として、今日までにフランスをはじめとする多くの作曲家達に取り上げられてきた。メシアン、ジョリヴェ、ミヨー、オネゲルといった作曲家達をはじめ、20世紀の音楽史上重要な作品がこの楽器と共に数多く生まれている。もちろんクラシック音楽だけでなく映画やCM、シャンソン、お芝居など様々な場面でオンド・マルトノの音は耳にすることができる。
楽器製造が受け継がれていない為、現在では現存する楽器のみが演奏できる唯一の手段となっている。
〈名前の由来〉
オンド(Ondes) : フランス語で「電波」を意味する。
マルトノ(Martenot) : 発明者、モリス・マルトノの苗字。
千葉県袖ヶ浦市出身。千葉大学教育学部卒業、同大学院修了。
フランス・パリ、スコラ・カントルム、オンド・マルトノ科演奏家課程を審査員特別賞付きの満場一致で修了。
オンド・マルトノをジャンヌ・ロリオ、原田 節、作曲を水野修孝の各氏に師事。
1995年、友人の紹介でオンド・マルトノを知り、世界的オンド・マルトノ奏者の原田 節氏と出会う。
1997年より原田氏の下、オンド・マルトノを習い始める。
1999~2001年渡仏。パリ、スコラ・カントルム、オンド・マルトノ科演奏家課程に留学。
オリヴィエ・メシアンの義妹でオンド・マルトノの第一人者、ジャンヌ・ロリオ氏の下で研鑽を積む。
ロリオ氏最期の弟子となる。
2000年、ロリオ氏の推薦でマーク・フィッツジェラルド指揮、メシアン『トゥランガリラ交響曲』のソリストとして英国に招待される。
以後、サントゥスタッシュ教会、サンメリ教会などでの演奏、フランス各地のフェスティバルなどで好評を得る。
2002年より日本での活動開始。
ホールコンサートからサロンコンサート、各種イベント、ライブハウス、学校教育機関の招待演奏、ラジオ、TV出演など様々な分野で活躍。
内外の音楽コンテストで最優秀賞、審査員特別賞等受賞。
新作の初演、録音などクラシックからジャズ、ポピュラー、映画音楽、オリジナル作品まで、ジャンルを超えた幅広い音楽観でオンド・マルトノの魅力を広め続けている