ヴィオラ奏者のIlya Hoffman(イリヤ・ホフマン)とピアニストのSergey Koudriakov(セルゲイ・クドリャコフ)がシューマン、ライネッケ、ジット、ニューマン、ゲーゼ の幻想的小品と呼ばれる作品の数々を演奏しています。
まずはじめに、「なんだ、クラシックか。よく分からないから興味ないや」とスルーしようとしている方、ちょっとお待ちいただきたい。クラシックは難解。そうイメージされる方も多いでしょう。クラシックは経験(聴いた数)がより理解と解釈を深めるジャンルである、と言ってもよいでしょう。そのため1枚聴いたくらいではよく分からない。「有名だから」でカラヤンのオーケストラを聴いてみたものの「う~ん」となって挫折・・なんてよくあるパターンかと。そこから他にも聴き進めて吸収していこう、というのは稀でしょう。
そこでお薦めしたいのはこのアルバム。室内楽の小曲集で、いずれもメロディアスで親しみ易い。シューマン以外はあまりメジャーでない作曲家の作品で、聴いた事ない(トラック1~6は世界初録音) 曲のはずなのに数回聴けばあたかも昔から馴染みの曲の様に接していただけるのではないかと思います。クラシックも聴いてみたい、一度は挫折したけど良いものがあるのなら・・そんな非クラシック・ファンに是非聴いていただきたい。クラシックへの扉を開いてくれる可能性のある1枚だと思います。開いてしまえば後はすんなり受け入れられる不思議さもあるものです。
もちろんベテラン・クラシック・ファンも唸らせるアルバムだと思います。ヴィオラとピアノという最近ではよく見かける編成とはいえ、それでも脇役なヴィオラが主役というマニアックな印象を与えるかも知れませんが、これほどまでにヴィオラが豊かなコクと爽やかな響きを聴かせてくれるとは、と思われるのではないでしょうか。そしてピアノが素晴らしい。所々にハッとするような、それでいて出しゃばらない主張の妙。
そしてオーディオ・ファンにはたまらない恍惚の音色。レーベル名のCARO MITIS(熟れた果実)が示す通り、完熟の果実からしたたり落ちる甘露な果汁の如き瑞々しい鮮度。時折聞かれる「DSDは中音域が薄い」という批判はこのレーベルの録音からは私は感じない。HYBRIDの構造上の音質への悪影響やマルチchを収録する事での不利などはこのレーベルの録音を上回ってから言いなさいよ、と思ってしまう。もちろんあらゆる方法で改善、向上を試みるのは素晴らしい事ですが、ことさら素材云々ばかりが良し悪しの判断材料になる流れは私は違和感を覚えてしまう。このアルバムは現在のシステムが1ランク2ランク向上するようなチューニング効果もあるような錯覚さえ感じる。それは機材よりも自分の耳、感性がエージングされるからかも知れない。
再生する度に限りない幸福感に包まれる超お気に入りアルバムです。
再生する度に限りない幸福感に包まれる超お気に入りアルバムです。
お薦め度:★★★★★
Hans Sitt (1850-1922)
Three Fantasy Pieces, op.58 1. Allegro un poco agitato, f-Moll 2. Andante, As Dur 3. Allegretto, C-Dur Ernst Naumann (1832-1910) Three Fantasy Pieces, Op. 5 4. Vivace, ma non troppo presto, A-Dur 5. Andante, C-Dur 6. Molto allegro confuoco, a-Moll Carl Reinecke (1824-1910) Three Fantasy Pieces, Op. 43 7. Romanze. Andante, As-Dur 8. Allegro molto agitato, F-Dur 9. Jahrmarkt-Szene (Eine Humoreske). Molto vivace, G-Dur Niels Wilhelm Gade (1817-1890) Fantasy Pieces, Op. 43 10. Andantino con moto, F-Dur 11. Allegro vivace, B-Dur 12. Ballade. Moderato, g-Moll 13. Allegro molto vivace, As-Dur Robert Schumann (1810-1856) Fantasy Pieces, Op. 73 14. Zart und mit Ausdruck, a-Moll 15. Lebhaft leicht, A-Dur 16. Rasch und mit Feuer, fis-Moll Total playing time, 63:53 Tracks 1-6 are world premiere recordings. Microphones - Neumann km130 DPA (B & K) 4006 DPA (B & K) 4011 SCHOEPS mk2S
SCHOEPS mk41 All the microphone buffer amplifiers and pre-amplifiers are Polyhymnia International B.V. custom built. DSD analogue to digital converter - Meitner design by EMM Labs. Recording, editing and mixing on Pyramix system by Merging Technologies. Recording Producer - Michael Serebryanyi
Balance Engineer - Erdo Groot Recording Engineer - Roger de Schot Editor - Carl Schuurbiers (P)&(C) 2007 Essential Music, #16b-2, Volokolamskoye shosse,
Moscow, 125080, Russia |
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