コチシュと手兵ハンガリー国立フィルによるシリーズ最新作は、傑作「ヴァイオリン協奏曲第2番」と2つの「ラプソディ」。独奏ヴァイオリンには、ハンガリーきっての名手バルナバーシュ・ケレメンを迎えています。
【バルトークとハンガリーの名ヴァイオリニストたち】
ピアノを除けば、ヴァイオリンはバルトークにとって生涯ゆかりのあった楽器で、バルトークの周囲にはいつもすぐれたヴァイオリニストたちがいました。バルトークが14歳のとき、ブダペスト音楽院の学生時代に書いた最初のヴァイオリン・ソナタ作品5は、同窓のシャーンドル・ケーセギによって初演され、すぐに伝説的ヴァイオリン奏者フバイによっても演奏されています。
シュテフィ・ゲイエルは、初期のヴァイオリン協奏曲の創作の源泉となり、バルトークから作品の献呈を受けてもいますし、さらに、最晩年の無伴奏ヴァイオリン・ソナタはイェフディ・メニューインとの交流のなかで生み出されたものです。
また、ピアニストとしてバルトークは、室内楽のパートナーとしてフバイ門下のフェレンツ・ヴェチェイ、ティヴァダル・オルサーグ、アンドレ・ジェルトレル、エデ・ザトゥレツキと共演を重ねてもいます。
そうしたなかでもバルトークと特別親密な関係にあったのが、ヨーゼフ・シゲティとゾルターン・セーケイのふたりでした。
【シゲティ、セーケイ初演による2 つのラプソディ】
もともとはヴァイオリンとピアノのために書かれ、ほどなくオーケストラ用に編曲された2つのラプソディは、このふたりのヴァイオリニストのために書かれたもの。1929年11月、それぞれ順にヴァイオリン独奏と指揮を、シゲティ&シェルヘン、セーケイ&ドホナーニの顔合わせによって初演されています。
ラプソディは、マジャール語で「ゆっくり」を意味する「ラッシュー」と、「速い」を意味する「フリッシュ(英語のFast)」とによる緩-急の2部形式をとっているのが特徴で、すなわち、リスト以来の「ハンガリアン・ラプソディ」の配置を踏襲したものとなっています。いずれも、民俗音楽をベースにした数あるバルトークの作品のなかでも、もっとも洗練され大規模な内容で親しまれています。また、第1番ではバルトークの全作品のなかで唯一、ツィンバロンが使用されているのも楽しみな聴きどころといえます。
【セーケイによって委嘱・初演された傑作ヴァイオリン協奏曲第2番】
第1ラプソディのほかに、シゲティがクラリネットのべニー・グッドマンとともに「コントラスツ」をバルトークから献呈されたのに対して、ヴァイオリン協奏曲第2番は、バルトークとより親密なるセーケイとのコラボによって生み出されたもの。
ヴァイオリン・ソナタや、上記ラプソディの作曲を通じて得たもののほか、独奏ヴァイオリンならびにオーケストラ楽器の用法、独創的なオーケストレーションと、それまでの経験のすべてが盛り込まれた内容は、まさに傑作と呼ぶにふさわしい出来ばえです。
ヴァイオリン協奏曲第2番は、1939年にセーケイの独奏、メンゲルベルク指揮のコンセルトヘボウ管によって初演されています。
【フバイの流れを汲む名手ケレメン】
【バルトークとハンガリーの名ヴァイオリニストたち】
ピアノを除けば、ヴァイオリンはバルトークにとって生涯ゆかりのあった楽器で、バルトークの周囲にはいつもすぐれたヴァイオリニストたちがいました。バルトークが14歳のとき、ブダペスト音楽院の学生時代に書いた最初のヴァイオリン・ソナタ作品5は、同窓のシャーンドル・ケーセギによって初演され、すぐに伝説的ヴァイオリン奏者フバイによっても演奏されています。
シュテフィ・ゲイエルは、初期のヴァイオリン協奏曲の創作の源泉となり、バルトークから作品の献呈を受けてもいますし、さらに、最晩年の無伴奏ヴァイオリン・ソナタはイェフディ・メニューインとの交流のなかで生み出されたものです。
また、ピアニストとしてバルトークは、室内楽のパートナーとしてフバイ門下のフェレンツ・ヴェチェイ、ティヴァダル・オルサーグ、アンドレ・ジェルトレル、エデ・ザトゥレツキと共演を重ねてもいます。
そうしたなかでもバルトークと特別親密な関係にあったのが、ヨーゼフ・シゲティとゾルターン・セーケイのふたりでした。
【シゲティ、セーケイ初演による2 つのラプソディ】
もともとはヴァイオリンとピアノのために書かれ、ほどなくオーケストラ用に編曲された2つのラプソディは、このふたりのヴァイオリニストのために書かれたもの。1929年11月、それぞれ順にヴァイオリン独奏と指揮を、シゲティ&シェルヘン、セーケイ&ドホナーニの顔合わせによって初演されています。
ラプソディは、マジャール語で「ゆっくり」を意味する「ラッシュー」と、「速い」を意味する「フリッシュ(英語のFast)」とによる緩-急の2部形式をとっているのが特徴で、すなわち、リスト以来の「ハンガリアン・ラプソディ」の配置を踏襲したものとなっています。いずれも、民俗音楽をベースにした数あるバルトークの作品のなかでも、もっとも洗練され大規模な内容で親しまれています。また、第1番ではバルトークの全作品のなかで唯一、ツィンバロンが使用されているのも楽しみな聴きどころといえます。
【セーケイによって委嘱・初演された傑作ヴァイオリン協奏曲第2番】
第1ラプソディのほかに、シゲティがクラリネットのべニー・グッドマンとともに「コントラスツ」をバルトークから献呈されたのに対して、ヴァイオリン協奏曲第2番は、バルトークとより親密なるセーケイとのコラボによって生み出されたもの。
ヴァイオリン・ソナタや、上記ラプソディの作曲を通じて得たもののほか、独奏ヴァイオリンならびにオーケストラ楽器の用法、独創的なオーケストレーションと、それまでの経験のすべてが盛り込まれた内容は、まさに傑作と呼ぶにふさわしい出来ばえです。
ヴァイオリン協奏曲第2番は、1939年にセーケイの独奏、メンゲルベルク指揮のコンセルトヘボウ管によって初演されています。
【フバイの流れを汲む名手ケレメン】
ヴァイオリン独奏を担当するバルナバーシュ・ケレメンは、1978年生まれのハンガリーのヴァイオリニスト。1999年、ザルツブルクのモーツァルト国際ヴァイオリン・コンクールで第1位を獲得し、2002年にインディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールでゴールド・メダルを獲得して、2006年にハンガリー共和国騎士十字勲章を授与されるという華々しいキャリアの持ち主です。
ケレメンは6歳でヴァイオリンをヴァレーリア・バラニャイに師事して、11歳でフェレンツ・リスト音楽院への入学を許可され、エステル・ペレーニのクラスに入っており、2001年にディプロマを取得し、音楽院在籍中に、アイザック・スターン、ジェルジ・クルターク、トーマス・ツェートマイアーらのマスタークラスに参加しています。
ちなみに、ケレメンの師であるエステル・ペレーニはエデ・ザトゥレツキに師事しているので、ケレメンもまたフバイの系譜に連なるヴァイオリニストということになります。
【世界初録音を含む異稿も収録】
なお、本アルバムにはボーナスとして、ヴァイオリン協奏曲、ラプソディとも、現行版とは別に異稿も収められています。CDプレーヤーのトラックをプログラミングすることで、自由に作品を楽しめるようになっており、このあたり、バルトークの作品すべてを網羅すると自負する当シリーズならではのうれしい配慮といえるでしょう。(キングインターナショナル)
【収録情報】
バルトーク:
1. ラプソディ第1番 BB 94b, Sz 87
I. ラッシュー / II. フリッシュ(第1稿)
2. ラプソディ第2番 BB 96b, Sz 90
I. ラッシュー / II. :フリッシュ(第2稿)
3. ヴァイオリン協奏曲第2番 BB 117, Sz 112
I. アレグロ・ノン・トロッポ / II. アンダンテ・トランクィッロ / III. アレグロ・モルト(第2稿)
(ボーナス・トラック)
・ラプソディ第1番~II. フリッシュ(第2稿)
・ヴァイオリン協奏曲第2番~III. アレグロ・モルト(第1稿)
・ラプソディ第2番~II. フリッシュ(第1稿) 世界初録音
バルナバーシュ・ケレメン(ヴァイオリン)
ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団
ゾルターン・コチシュ(指揮)
ケレメンは6歳でヴァイオリンをヴァレーリア・バラニャイに師事して、11歳でフェレンツ・リスト音楽院への入学を許可され、エステル・ペレーニのクラスに入っており、2001年にディプロマを取得し、音楽院在籍中に、アイザック・スターン、ジェルジ・クルターク、トーマス・ツェートマイアーらのマスタークラスに参加しています。
ちなみに、ケレメンの師であるエステル・ペレーニはエデ・ザトゥレツキに師事しているので、ケレメンもまたフバイの系譜に連なるヴァイオリニストということになります。
【世界初録音を含む異稿も収録】
なお、本アルバムにはボーナスとして、ヴァイオリン協奏曲、ラプソディとも、現行版とは別に異稿も収められています。CDプレーヤーのトラックをプログラミングすることで、自由に作品を楽しめるようになっており、このあたり、バルトークの作品すべてを網羅すると自負する当シリーズならではのうれしい配慮といえるでしょう。(キングインターナショナル)
【収録情報】
バルトーク:
1. ラプソディ第1番 BB 94b, Sz 87
I. ラッシュー / II. フリッシュ(第1稿)
2. ラプソディ第2番 BB 96b, Sz 90
I. ラッシュー / II. :フリッシュ(第2稿)
3. ヴァイオリン協奏曲第2番 BB 117, Sz 112
I. アレグロ・ノン・トロッポ / II. アンダンテ・トランクィッロ / III. アレグロ・モルト(第2稿)
(ボーナス・トラック)
・ラプソディ第1番~II. フリッシュ(第2稿)
・ヴァイオリン協奏曲第2番~III. アレグロ・モルト(第1稿)
・ラプソディ第2番~II. フリッシュ(第1稿) 世界初録音
バルナバーシュ・ケレメン(ヴァイオリン)
ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団
ゾルターン・コチシュ(指揮)
ハンガリーが国の威信をかけて送るバルトークシリーズ第10弾です。このシリーズは世界各国でも絶賛され、私も大好きで新作を待ちに待っていたものです。HUNGAROTONレーベルは現在このシリーズのみSACDリリースをしている事からも、このシリーズにかける意気込みが感じられます。
クラシック・ファン、バルトーク・ファンには当然お薦めですが、キングクリムゾンのロバート・フリップ総帥が多大なる影響を受けたバルトーク。特にこのシリーズはクリムゾン・ファン、プログレ・ファンにも強くお薦めしたいです。VIVA!SACD推奨