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SACDに特化した偏屈ブログ

【新譜情報】ゲルギエフ&LSOマラ5

Symphony No.5

 
ゲルギエフ&ロンドン響 2010年9月録音。カリスマの面目躍如! マーラーの第5交響曲
いよいよ残すところあと2曲にまで迫った、ゲルギエフ&LSOによるマーラー交響曲シリーズ。アニヴァーサリー・イヤーの締めくくりに向けてリリースされる、とっておきの新作は、2010年秋の来日公演のプログラムにも組まれ、おおきな話題を集めた第5番。2010/11年のシーズン・オープニング・コンサートの前日と翌日、9月24日の限られたLSOサポーターを前にした全曲演奏とリハーサル、および9月26日の演奏会本番と、本拠バービカンホールでおこなわれた2日間の演奏の模様を収めたものです。

ゲルギエフにとってのマーラーの第5交響曲
1907年に、マーラーサンクトペテルブルクを訪れた際にロシア初演をおこなった交響曲第5番。「学生時代に、ラインスドルフ指揮ニューヨーク・フィルサンクトペテルブルク公演を聴き、生での初めてのマーラー体験だった」と語るこの曲について、ゲルギエフは来日時のインタビューでも「マーラーの中期を代表し、中核となる作品」と位置付けていました。
アニヴァーサリーに合わせたLSOとの第5交響曲再演
ゲルギエフとLSOはマーラー交響曲第5番を、2007/08年のシーズンを通してかれらとして初めて取り組んだ交響曲全曲演奏シリーズ中の2008年3月にも演奏しています。その際にも「もっとも攻撃的なアダージェット」(タイムズ紙)とセンセーショナルに取り上げられましたが、つねに変化を続けるゲルギエフ&LSOにあって、こうしてまたマーラーのアニヴァーサリーに合わせて再演に踏み切っていることからも、第5交響曲に対するゲルギエフの意気込みの強さがうかがい知れるところです。
カリスマ指揮者ゲルギエフに食らいつくLSOの大熱演
マーラーについてバーンスタインから話を聞き多くを学んだ」と自身認めるように、ゲルギエフマーラーもまた、時に崩壊寸前、極端とも云えるテンポ設定が生み出す独特の濃厚な表現が特徴的。第5交響曲は複雑長大で、全篇の落差も大きく、動きの激しい曲ということで、また、上述のゲルギエフの個人的体験に加味すると、マーラー交響曲の中でもゲルギエフのアプローチがもっとも映える作品といえるのではないかとおもわれます。じっさい、ゲルギエフとLSOが同じく第5番を演奏した2010年11月28日の東京公演は、爆演と呼ぶべき壮絶なものでしたが、初顔合わせより20年来切望した結果、ようやくゲルギエフを首席指揮者に迎え入れることがかなったLSOのメンバーたちが、絶大な信頼を寄せるカリスマに必死で食らい付いて演奏する姿が印象的でした。このアルバムでも、首席トランペット奏者フィリップ・コッブによる葬送ファンファーレから、フィナーレ最後の一音の爆発まで、LSOの絶好調ぶりを確認できるはずで、息つく間もない、たまらなくスリリングな内容が繰り広げられているものと期待されます。

キングインターナショナル 2010年12月09日(発売・販売元 提供資料)