VIVA!SACD

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SACDに特化した偏屈ブログ

ティファニー  ルビー&サファイア

ルビー&サファイア

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[1]〈Ruby Disc〉
(1)赤とんぼ~スターダスト
(2)君ほほえめば
(3)ホワイ・ドント・ユー・ドゥ・ライト
(4)A列車で行こう
(5)アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン
(6)スマイル

[2]〈Sapphire Disc〉
(1)レット・イット・ビー
(2)ローズ
(3)フィール・ライク・メイキン・ラヴ
(4)ユーヴ・ガット・ア・フレンド
(5)ウィル・ビー・トゥゲザー
(6)ジョージア・オン・マイ・マインド
 
2010年 SACD/CD HYBRID   STEREO   DSDレコーディング
ティファニー5枚目のアルバムは≪ルビー・ディスク≫と≪サファイア・ディスク≫と趣きの異なる楽曲を収めた2枚組み。ティファニーを除く演奏陣の顔ぶれも違えば音質傾向も違うという興味深いユニークなアルバムになっています。
 
まず≪ルビー・ディスク≫はジャズ・スタンダード。メンバーは山本剛(p 1.2)野本晴美(p 4.5.6)井上陽介(b)ジミー・スミス(ds)レイモンド・マクモーリン(ts 4.5.6)外山喜雄(tp、vo 2)田辺充邦(g 3)とこれまでティファニーと共演の多い面子。ホームタウンといったところ。
特筆すべき面白い試みの点は、3rdでの「五木の子守唄」4thでの「荒城の月」を取り上げた『日本の名曲』。今回は童謡「赤とんぼ」。
日本語でカヴァーしているのですが、日本語ネイティヴの発音とは違うイントネーションのちょっと拙さが哀愁感があって実に味わい深い。濃いサウンドの中に浮かび上がるティファニーのヴォーカルが怖いくらいの臨場感でリアルに迫る。メドレーで「スターダスト」への流れもまた決まってます。
2曲目はティファニーのアルバムでは初の試みで、ゲスト・ヴォーカルに外山氏(トランペットも)を迎え、もろに”サッチモ”な外山氏の歌唱法が(ちょっとあざとくもありますが・・)ルイ&エラの様な”夢の共演”感を味わえます。続いてのナンバーも”どスタンダード”が並びますが、スタンダードだけに実力が出やすい、諮りやすい、それをしっかりモノにしていて、ジャズ・ヴォーカリストとしての成長に磨きがかかってきた。バラードの上手さが特に向上している。
 
ますますもって”深み”を増すティファニーのヴォーカルと88の録音の良さ。敢えて”引く””抑える”事が自前の歌の上手さに頼りきらない”表現力”の向上がいっそう曲の良さを引き立たせ、クリアさだけでなくジャズ特有の”濃さ”が増して、下っ腹にどっしり効く録音とがたまらない。6曲で終わるのが勿体無い、もっとこの世界に酔いたい欲求不満が強いて挙げる不満点。贅沢な不満ですが。
 
サファイア・ディスク≫はポップス・スタンダード
ケイレブ・ジェームス(p、key、ハモンド・オルガンB3)日野”JINO”賢二(b)ジェイ・スティクス(ds)マサ小浜(g)鈴木央紹(ts、ss 5,6)というティファイーとは初共演の演奏陣を迎え、アコースティックからエレキに変わり、こちらはビジターといったところか。
 
≪ルビー≫とはガラっと変わってビートルズ「レット・イット・ビー」をレゲエ・アレンジで。なるほど1枚に収めると違和感ありまくり。でもこれがまた良い。原曲から大胆にアレンジを加えるのは嫌な方もいらっしゃるでしょうが、土台がしっかりしてるだけにアレンジも栄える。「ローズ」は原曲が大好きな曲。ちょっとここでのティファニーは固いかなといった印象。「フィール・ライク・メイキン・ラヴ」はバッド・カンパニー・・ではなくて勿論ロバータ・フラック。前作でも「やさしく歌って」を取り上げていたが、これは歌い慣れてるといった感じで、アレンジも良好。
キャロル・キング「ユーヴ・ガット・ア・フレンド」はジャズ・アルバムで聴くのは初めて。JINOのベースが存在感あって良い。スティング「ウィル・ビー・トゥゲザー」はソウルフルなアレンジで、こういう雰囲気も良い。ラストは≪ルビー≫の1曲目「スター・ダスト」と同じくポーギー・カーマイケルの曲という構成がにくい。1曲単位で聴く事が多い最近の一般的リスニング事情ですが、私はアルバム単位で聴くのが好きなので、こういう曲順の拘りは好きですね。ハモンドオルガンが入ってまた良いですね。≪サファイア≫はまだ満点をあげる仕上がりではないものの、今後のレパートリーの広がり、可能性が期待できます。ポップス・シンガーがポップス・アルバムをDSD録音でSACDで・・なんてのにも期待したい・・
 
プロデューサーはご存知、伊藤”88”八十八。録音、篠笥 孝、マスタリングは鈴木浩二
 
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