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SACDに特化した偏屈ブログ

PHILIPS名盤Channel Classicsより復刻!フィッシャー&ブタペスト祝祭管バルトーク

Bluebeard's Castle


イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管フィリップス音源復刻シリーズに注目作が登場。PHILIPSでもかつてマルチチャンネル仕様のハイブリッドSACDがリリースされていたものの、ずっと入手できない状態が続いていたので、今回のリリースは歓迎されます。
 



【名バス歌手ポルガール】
ハンガリー出身で長くチューリッヒを拠点とし国際的に活躍していたバス歌手、ラースロー・ポルガール[1947-2010]が亡くなったのは昨年の9月。まだ現役で活躍していただけに衝撃も大きく、その死が深い悲しみをもって迎えられたのも記憶に新しいところです。
そのポルガール最大の当たり役といわれていたのが青ひげ役で、ブーレーズ&シカゴ響(DG)との録音と、イヴァン・フィッシャー(PHILIPS)とのこの録音があったほか、数多くの実演での高評も知られています。特に、ユーディト役のイルディコ・コムローシ、指揮のイヴァン・フィッシャーという、PHILIPS録音メンバーと同じ顔合わせでおこなったヨーロッパ各地での数多くの上演は、高評価の蓄積により名物と言って良いほどの人気を博していたことでも有名でした。

バルトーク若き日の力作】
『青ひげ公の城』はバルトーク27歳の時の気鋭の作品。すでに独自の個性を確立していた若きバルトークの音楽は、2人の登場人物の歌をオーケストラがきわめて多彩な表現で支えるというもので、イヴァン・フィッシャー指揮するブダペスト祝祭管のサウンドは、7つの扉を巡る趣向を凝らした響きを際立たせて実に魅力的。音楽の運びも起伏に富み、民俗的な要素も盛り込まれた歌唱の味わいをいっそう引き立てています。

【ポルガールの青ひげ】
ポルガールの声は太くよく響き、朗唱風な場面の多いこの音楽との相性は抜群。威厳に満ちた中にも苦悩や諦めが滲み出る深みのある歌唱を聴かせて感動的であり、第1人者の貫禄をよく示してもいます。

【コムローシのユーディト】
ユーディト役のイルディコ・コムローシは、スカラ座やメトでも活躍する国際派で広いレパートリーの持ち主ですが、彼女は『青ひげ公の城』のスペシャリストでもあり、すでに20年以上も世界各国でこの役を歌ってきたという輝かしい実績がその実力を証明してもいます。コムローシの声はドラマティックな力強いタイプのもので、オーケストラに負けない歌の凄みには驚くばかり。ここでも自らと青ひげを追い込んでしまうほどのユーディトの過度の思い込み行動を巧みに表現しています。

【フィッシャーのバルトークサウンド
このスペシャリスト二人を支えるのが、徹底的に作品を研究し、細かな部分まで綿密な表情付けを施して好評のイヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管弦楽団のコンビです。楽員全員を2年契約とし、更新時には必ずオーディションを実施するという厳しい運営方針を堅持するブダペスト祝祭管の演奏は常に高い水準に維持されており、この作品のようなハードかつ繊細な表現が求められる音楽でもその適応力は十分です。
若きバルトークがここに盛り込んだサウンドには、印象派風の色彩的な響きもあれば、民俗的で野趣に富む激しい響きもあります。演奏者には多様な表現が求められるわけですが、彼らの演奏は色彩・切れ味ともに申し分ない見事なものです。(HMV)

【収録情報】
バルトーク:歌劇『青ひげ公の城』全曲 [55:27]

ラースロー・ポルガール(バス:青ひげ公)
イルディコ・コムローシ(メゾ・ソプラノ:ユーディト)
ブダペスト祝祭管弦楽団
イヴァン・フィッシャー(指揮)

録音時期:2002年8月16~19日
録音方式:デジタル(セッション)
録音場所:ブダペスト、イタリアン・インスティテュート
原盤:PHILIPS
SACD Hybrid
CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUND