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SACDに特化した偏屈ブログ

鑑賞感想記 THREESOME「Whatever!」マリーン、吉田次郎、クリヤマコト

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THREESOME:Whatever!
01. ラブ・フォー・セール
02. 好きにならずにいられない
03. コンドルは飛んでいく
04. 虹の彼方に
05. 雨の日と月曜日は
06. ゼア・イズ・ノー・グレーター・ラヴ
07. スノウ・ダンス
08. ルート66
09. ザ・レディ・イズ・ア・トランプ
10. 枯葉
11. イエスタデイ
12. マイ・ライフ・イズ・サスペンデッド
 
マリーン(vo)、クリヤ・マコト(p)、吉田次郎(g)が再び集結。THREESOMEのセカンドアルバム。
1stと同様にジャズスタンダードとオリジナルと今回はポップススタンダードも織り交ぜた構成。
今回の録音も前作と同じく、無編集のDSDダイレクト・レコーディング。事前にPyramixによるDSD11.2による録音とアナウンスがありましたが、比較試聴の結果、今回もSONOMAによるDSD2.8のマスターが採用された模様。
しかし、前作とはまた違って聴こえます。マイクやアンプにヴィンテージ物を使用しているそうで、より暖かみと空気感が増した感じがあります。
それは1のギターの音が流れた瞬間に分かる。
 マリーンの歌唱をメインに据えながらも、吉田もクリヤも効果的なフレーズで攻める。けして「伴奏」なんかではない、聴きどころ満載のオープニングでまたしても快作なのは確信できる。
前回は即興的な熱さ、パワフルなマリーンの歌唱を引き立たせるものでしたが、今回は前作に比べしっとり、じっくり聴かせる曲が多くなっています。
2でのマリーンのバラードの上手さ、大人の歌唱が、元気いっぱいだけでないマリーンの引き出しの多さを物語る。 3は吉田のエレクトリック・ギターが冴えますが、私はどうしても「野菜をいっぱい食う」と空耳が邪魔をしてしまいます(笑)
4はこのアルバムのハイライトではないでしょうか、演奏も歌唱も抜群です。ピアノのバックに朗々と歌い上げるマリーン、そしてテンポ・アップが、「雨から、晴れて虹が出る」そんな情景が浮かびます。素晴らしいアレンジ。
カーペンターズのヒット・ナンバー5はオリジナルから大きくアレンジを加える事なく、地味だけど深いメロディラインはそのまま。この曲でのピアノが絶品で、キラキラとポジティヴな響きが、メランコリックな歌唱と、水しぶきを思わせる弦をキュッキュッと滑らせる哀愁との対比となって実に美しい。
6はマイルス・デイヴィスソニー・ロリンズらで有名な曲。正直これまでそんなに気になる曲では無かったのですが、全然違う曲みたいです。カッコいい!
7は吉田次郎作曲でハリウッド映画のテーマ曲。2015年発売の吉田次郎「パステルシェイド」にもインストで収録されていますが、ここではヴォーカル入りで。切なく、沁みる良い曲です。
8は3人のライヴ定番曲。盛り上がる事間違いなしの小躍りしたくなるリズム感がいいですね。9はレディ・ガガトニー・ベネットと歌ったり、椎名林檎もカヴァーしたりとポップ好きにも有名な曲かと。社会派の吉田次郎だけに「ドナルド・トランプ」と掛けてるのかな?などと深読み。8、9の小粋な曲の流れ、いいですね。
10も超の付く有名曲で、ありとあらゆるバージョンが存在しますが、こんなバージョンは珍しい。途中「ハッ」と吐息が漏れる程の吉田次郎とクリヤマコトの掛け合い、しかし、原曲の品や哀愁は損なってはいない、さすがの演奏。
11は知らぬ者はおそらくいないビートルズの。ただ、これは個人的にはイマイチかな~なんて。ラストの12は吉田のオリジナルで、この曲のみ吉田とクリヤに加え、ベースに納浩一、ドラムスに則竹裕之が加わったカルテット。テクニカル・フュージョン・ナンバーでカッコいい。前作同様ラストに毛色の違う曲を持ってくるのは個人的に楽しみ。全編こういう曲のアルバムを聴いてみたいなと希望が膨らみます。
ボーカルナンバーの良さは勿論、インストナンバーのカッコ良さ、とてもギターとピアノだけとは思えない演奏は「どうやって弾いてるの?」と思わされる、聴けば聴くほど深い作品ですね、実際にギターやピアノを弾かれる方は私よりこの凄さが実感できるのではないでしょうか?
 
  
1stと2nd、どちらも甲乙付け難い良いアルバムですが、今作の方がより熟成された感じもあります。早くも次回作を欲してしまう。
 
2017年4月 SONY MUSIC STUDIOS TOKYO 録音
produced by 杉田元一&THREESOME
recording and mastering engineer 鈴木浩二
assistant enginneer 米山雄大