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SACDに特化した偏屈ブログ

メゾ・ソプラノ、フォン・オッターの新録音はスウェーデンの聖ヤコブ教会で録音された歌曲集『シンプル・ソング』(SACDハイブリッド)

A Simple Song -Sacd-

「シンプルソング」 アンネ・ゾフィー・フォン・オッター ベングト・フォシュベリ

スウェーデンの宮廷歌手アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(1955-)のキャリアは、彼女が生まれたストックホルムの聖ヤコブ教会から始まりました。教会の青少年合唱団で歌い、教会で行われているバッハの《マタイ受難曲》コンサートのソロに起用。1982年、最初のソロ・コンサートをこの教会で行いました。この時に共演したベンクト・フォシュベリ(1952-)とは、その後30年以上に渡る共演が続いています。オペラ《秋のソナタ》(BISSA 2357)をリリースしたばかりのフォン・オッターの『シンプル・ソング』は、この聖ヤコブ教会でセッション録音されたアルバムです。

タイトルにとられたバーンスタインの《ミサ》のナンバーから、ミュージカル《サウンド・オブ・ミュージック》の〈すべての山を登れ〉まで、「宗教」と「心」でつながる17の曲。「典礼の手かせ足かせを逃れ、自然に湧き出る賛美の心を高らかに歌え」を基本のスタンスに歌われます。

コープランドの《エミリ・ディキンソンの12の詩》の第10曲、ジャズの和声とゴスペルの歌唱を取り入れた〈オルガンが話すのを時々聞いた〉。
ホイッティアーのクエーカーの賛美詩によるアイヴズの曲。
マーラー交響曲第3番と第2番の楽章とした『子供の不思議な角笛』の詩による2曲。
陽が昇り、愛する人と結ばれる……マッケイのドイツ語詩にシュトラウスが作曲した《あした!》。
デュリュフレとフランク・マルタンの《レクイエム》から1章ずつ。
メシアンがデュカスに学んでいた頃に作曲した《3つの歌》とプーランクの《平和への祈り》。
リストが《巡礼の年第2年:イタリア》の第1曲〈婚礼〉に基づいて書いた《アヴェ・マリア》は、オルガンの長い序奏で始まります。
ペルトが2曲。スコットランドの詩人ロバート・バーンズの詩にペルトが作曲した《わが心はハイランドにあり》。『子供の不思議な角笛』の編者のひとり、ブレンターノがナイチンゲールの歌を詠んだ詩による《何年もの昔、歌っているのを聞いた》は、原曲どおり、ヴァイオリンとヴィオラの共演で歌われます。
〈すべての山に登れ〉は、フォン・オッターがブラッド・メルドーの共演で素敵に歌った〈何かいいこと〉(naïve V5241)に次ぐ《サウンド・オブ・ミュージック》のナンバーです。

ピアニストとして知られるフォシュベリは、ヨーテボリ音楽大学でオルガンを学びました。聖ヤコブ教会に1976年に設置されたマークセン・オルガンを弾き、彼の子息ミケール・フォシュベリがレジストレーションを担当しました。フォン・オッターの子、ファビアン・フレードリクソンが〈シンプル・ソング〉のエレクトリックギターを弾いています。(キングインターナショナル)

アンネ・ゾフィー・フォン・オッター/シンプル・ソング』

【曲目】
1.レナード・バーンスタイン(1918-1990):シンプル・ソング
(スティーヴン・シュウォーツ、レナード・バーンスタインの詩)(《ミサ(Mass)》(1971)から)

2.アーロン・コープランド(1900-1990):オルガンが話すのを時々聞いた
(エミリ・ディキンソンの詩)

3.チャールズ・アイヴズ(1874-1954):静穏
(ジョン・グリーンリーフ・ホイッティアーの詩)

グスタフ・マーラー(1860-1911):
4.三人の天使がやさしい歌を歌い
(『子供の不思議な角笛』の詩)
5.原光
(『子供の不思議な角笛』の詩)

リヒャルト・シュトラウス(1864-1949):
6.たそがれの夢
(オット・ユリウス・ビーアバウムの詩)
7.あした!
(ジョン・ヘンリー・マッケイの詩)

8.アルヴォ・ペルト(1935-):わが心はハイランドにあり(2000)
ロバート・バーンズの詩)

9.モーリス・デュリュフレ(1902-1986):ピエ・イエズ
(《レクイエム》から)

オリヴィエ・メシアン(1908-1992):
10-12.3つの歌(1930)
【ⅰ.なぜ?(オリヴィエ・メシアンの詩)/ⅱ.ほほえみ(セシル・ソヴァージュの詩)/ⅲ.行方不明の婚約者(オリヴィエ・メシアンの詩)】

13.フランシス・プーランク(1899-1963):平和への祈り
(シャルル・ドルレアンの詩)

14.フランク・マルタン(1890-1974):アニュス・デイ
(《レクイエム》から)

15.アルヴォ・ペルト(1935-):何年もの昔、歌っているのを聞いた(1985)
(クレメンス・ブレンターノの詩)

16.フランツ・リスト(1811-1886):アヴェ・マリア S.60

17.リチャード・ロジャーズ(1902-1979):すべての山に登れ
オスカー・ハマースタイン二世(作詞))(《サウンド・オブ・ミュージック》から)
【演奏】
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(メゾ・ソプラノ)

ベンクト・フォシュベリ(オルガン;マルキュッセン・オルガン)[1-14,16,17]
ファビアン・フレードリクソン(エレクトリックギター)[1]
シャロン・べザリー(フルート)[1]
マルガレータ・ニルソン(ハープ)[1,7]
ニルス=エーリク・スパルフ(ヴァイオリン)[7,15]
マリー・マクラウド(チェロ)[9]
エレン・ニスベト(ヴィオラ)[15]

【録音】
2016年12月、聖ヤコブ教会(ストックホルムスウェーデン)[セッション録音]
制作・録音:マリオン・シュヴェーベル