2009年5月初リリース。世界の国歌を大作曲家たちが編曲、あるいは素材として用いたピアノ曲を集めた世界初のアルバム。ハイドンとベートーヴェンの変
奏曲、リスト、ラフマニノフの編曲は比較的知られていますが、モーツァルトのオランダ国歌による変奏曲、ショパンやグリーグが祖国国歌を編曲していることはファンの間でもあまり知られていない意外な驚きです。ことにショパンのポーランド国歌編曲は世界初録音。一聴してショパンとわかる美しい響きになっていて、ショパン・ファン必聴です。ピアノの教則本で有名なバイエルが世界各国の国歌をピアニスティックに編曲しているのも、まさに秘宝の発見。
当アルバムのために4篇の新作が書き下ろし。「ウルトラセブン」等の音楽で人気の高い冬木透による「君が代」と、中国の国歌に基づく2作は非常に技巧的で興味津々。また大詩人タゴールの作曲したインド国歌を、やはり詩人でもあるロシア出身の女性作曲家レーラ・アウエルバッハが料理した「タゴール幻想」も個性的。トルコの女性作曲家イディル・オズカンの「アナトリア悲歌」は、国歌として類のない深い後悔と悲しみの念に満ち、同国の若い世代の歴史観を伺わせます。
さらにさらに注目なのは、開会式でオリンピック旗掲揚の際に奏されるオリンピック賛歌(ギリシャのオペラ作曲家スピロス・サマラス作)の作曲者自身によるピアノ版と、ヨーロッパ賛歌(ベートーヴェンの第9交響曲「喜びの歌」)の、カラヤンによるピアノ編曲(世界初録音)も入っていること。カラヤンの作・編曲は極めて珍しく、またピアノ独奏曲というのも意外なうえ、「カラヤンの第9」という燦然たる最強ナンバーでもあります。
キングインターナショナル【曲目】
(1)ハイドン:皇帝賛歌による変奏曲 Hob.IIIの77(ドイツ国歌)
(2)モーツァルト:「ヴィレム・ファン・ナッサウ」による変奏曲 K.25(オランダ国歌)
(3)ベートーヴェン:イギリス国歌による変奏曲 WoO.78
(4)リスト編:ラ・マルセイエーズ(フランス国歌)
(5)ラフマニノフ編:星条旗(アメリカ合衆国国歌)
(6)ショパン編:ポーランド国歌
(7)グリーグ編:ノルウェー国歌
(8)バイエル編:デンマーク国歌
(9)バイエル編:ハンガリー国歌
(10)バイエル編:ブラジル国歌
(11)バイエル編:ベルギー国歌
(12)バイエル編:ボリビア国歌
(13)バイエル編:チリ国歌
(14)アレクサンドロフ(作曲者編):ロシア国歌
(15)ノイマン(作曲者編):エクアドル国歌
(16)冬木透:チャイニーズ・ラプソディ(中国国歌)
(17)冬木透:君が代パラフレーズ(日本国歌)
(18)アウエルバッハ:タゴール幻想(インド国歌)
(19)イディル・オズカン:アナトリア悲歌(トルコ国歌)
(20)サマラス(作曲者編):オリンピック賛歌(1896)
(21)ベートーヴェン(カラヤン編):EU賛歌(第9交響曲より)【演奏】
エリカ・ヘルツォーク(ピアノ)【録音】
2008年2月8、15日
キング関口台第1スタジオ
大指揮者のピアノ曲
白石光隆
2002年11月初リリース。音楽史上大指揮者となった人のなかには、フルトヴェングラーやバーンスタインのように、最後まで作曲家として認められることに固執し続けた向きもありますが、ここに収められた諸氏のほとんどは指揮者として大成して以降、筆を置いてしまいました。しかし、いずれも作曲家を志し、勉強していただけあって、聴きごたえのある見事な作品になっています。また、どれもが若き日の産物なため、みずみずしくナイーヴな感覚が魅力。彼らの真摯なメッセージが時を越えて蘇りました。
いずれも興味津々ですが、シューリヒトの推進力あふれるピアノソナタやセルのフランス印象派風繊細さと超絶技巧、まるでストラヴィンスキーのようなアンセルメ、指揮ぶりが目に浮かぶフルトヴェングラーと多彩。
さらにトスカニーニが少女趣味的な「子守歌」を、ムラヴィンスキーがポピュラー音楽のような「タンゴ」と「フォックストロット」を、クナッパーツブッシュが前代未聞の遅い「タランテラ」を作っているなど驚きのピアノ曲が満載。
白石光隆が高度な技巧と透明な美音で、大作曲家たちの若き夢を実現させます。
キングインターナショナル【曲目】
(1)トスカニーニ:子守歌
(2)アンセルメ:軍隊行進曲第1番
(3)クナッパーツブッシュ:タランテラOp. 7
(4)セル:3つの小品Op.6
(5)フルトヴェングラー:3つのピアノ曲
(6)シューリヒト:ピアノソナタ ヘ短調Op.1
(7)ムラヴィンスキー:
小アダージョ
前奏曲第1番 ヘ短調
前奏曲第4番「果てもなきロシアの自然に捧ぐ」
前奏曲第7番
前奏曲第8番「無力な者へ」
タンゴ
フォックス・トロット【演奏】
白石光隆(ピアノ)【録音】
2002年5月17日、7月26日
キング関口台第1スタジオ
ピアノによるルロイ・アンダーソン
白石光隆
2008年8月初リリース。ルロイ・アンダーソンの代表作25篇をアンダーソン本人がまずピアノ用に書いた版の世界初録音。人気曲はほぼ網羅。
アンダーソンといえばいずれも凝ったオーケストレーションで有名ですが、「ワルツィング・キャット」も「サンドペーパー・バレエ」もピアノだけでも魅力は半減するどころか極上のピアノ曲となっています。健康的で陽性、聴く人をハッピーにする癒しの効果にも満ちています。ジャズをはじめアメリカ音楽にも抜群の巧さを見せる白石光隆。彼にしかできない「ピアノのアンダーソン」が至福の時を与えてくれます。
キングインターナショナル【曲目】
ルロイ・アンダーソン(作曲者編):
(1)舞踏会の美女
(2)忘れられし夢
(3)タイプライター
(4)ブルー・タンゴ
(5)ラッパ吹きの休日
(6)ジャズ・ピッツィカート
(7)ジャズ・レガート
(8)鐘の歌
(9)ファントム・レジメント
(10)チャイナ・ドール
(11)シンコペイテッド・クロック
(12)サマー・スカイズ
(13)フィドル・ファドル
(14)ワルツィング・キャット
(15)サンドペーパー・バレエ
(16)スコットランドの釣鐘草
(17)プロムナード
(18)ペニー・ホイッスル・ソング
(19)トランペット吹きの子守歌
(20)プリンク・プレンク・プランク
(21)サラバンド
(22)セレナータ
(23)春が来た
(24)そりすべり
(25)サテンを着た少女【演奏】
白石光隆(ピアノ)【録音】
2008年8月4日
2009年1月28日、3月12日
キング関口台第1スタジオ