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SACDに特化した偏屈ブログ

バレンボイム・ブランドの新開発ピアノでのベートーヴェン

Beethoven: Complete Piano Trio

Beethoven: Complete Piano Trios, Vol. 1 - Van Baerle Trio


ファン・ベーレ・トリオによるベートーヴェンピアノ三重奏全集録音プロジェクトの第1弾。このトリオを率いるミンナールは1984年生まれで、エリザベート王妃国際音楽コンクール第3位など数多くの国際コンクールの入賞歴を誇るオランダの俊英ピアニスト。ミンナールは既にCHALLENGECLASSICSからベートーヴェンのピアノ協奏曲全集(CC-72763)をリリース済みで評価も大変上々。ファン・ベーレ・トリオとしてもメンデルスゾーンピアノ三重奏曲集(CC-72662)がリリースされています。今後も期待大。ウィーンでハイドンに学んでいた若きベートーヴェンが「作品番号1」を付けて世に問うたのは3曲のピアノ三重奏曲でした。師匠のハイドンが得意としたジャンルなので、師を称えて、という見方もできますが、野心的な音使いが随所に現れ、最後の3曲目は重苦しくベートーヴェン的なハ短調で締めくくるあたり、作曲家の個性があふれ出ています。このCDには第1番と第3番を収録。また当時流行していたオペラ・アリアから旋律を拝借した第4番『街の歌』も収録しており、こちらはさらに進化した楽聖の音楽が聴けます。
キングインターナショナル

 
  『ベートーヴェン:ピアノ三重奏全集 第1集』

【曲目】
第1番 変ホ長調 Op.1-1
第3番 ハ短調 Op.1-3
第4番 変ロ長調『街の歌』 Op.11

【演奏】
ファン・ベーレ・トリオ
[ハンネス・ミンナール(ピアノ)、
マリア・ミルシテイン(ヴァイオリン)、
ギデオン・デン・ヘルデール(チェロ)]

【録音】
2017年6月1-4、8-9日/オランダ、ヒルフェルスム

 

Cables: Siltech
Editing Software: Pyramix
Mastering Engineer: Bert van der Wolf
Mastering Room: Avalon
Microphones: Sonodore
Producer: Bert van der Wolf
Recording Engineer: Bert van der Wolf
Recording location: MCO-1 Hilversum (the Netherlands)
Recording Software: Merging
Recording Type & Bit Rate: DXD
 
 
このアルバムで演奏、録音ともうひとつの興味深い点は使用ピアノ
指揮者でピアニストであるダニエル・バレンボイムがベルギーのピアノメーカーChris Maene社と設計開発した2017年発表のChris Maene Concert Grand
スタインウェイの「交差弦」
と違い

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すべての弦が同じ高さでまっすぐに平行に張られている「平行弦」
 
2011年にバレンボイムがリストのオリジナルピアノを弾いた際に、平行弦ピアノにインスパイアされた事からこの新ピアノの開発が始まったそうで、様々な所で部品の新開発が行われた模様。
バレンボイム「音がより透明に・クリアになり、楽器自体による音の混じり(blend)が少なくなって、その分ピアニストが音のブレンドをコントロールできるようになる。私は気に入っている。」
 
おそらくこのピアノを使用してのSACDは初と思われ、challengeの優秀な録音(DXD)でどの様な音色なのか楽しみです