VIVA!SACD

VIVA!SACD

SACDに特化した偏屈ブログ

ベートーヴェンの不吉な "Opus 61" トリオ・パルナッススによる 弦楽三重奏曲のリース編曲ピアノ三重奏版

ベートーヴェン/リース: 弦楽三重奏 作品9(ピアノ三重奏版編曲)
トリオ・パルナッスス

タワーレコード

ベートーヴェンとこれほど密接な関係にあった人物はいないともいえるフェルディナント・リース(1784~1838)。ベートーヴェンと同じボンに生まれ、音楽一家で育ったリース。幼い頃から才能を開花させ、彼の父はすでにウィーンでピアニストとして成功していたベートーヴェンの下へ息子を送ることを決意します。1801年ウィーンに着いたリースは、ベートーヴェンに師事するだけではなく、彼の秘書や写譜の仕事も務めており、難聴が進行しつつあったベートーヴェンをサポートしていました。1805年にはリースが徴兵され5年間のウィーンでの修業は終わりを告げます。しかし健康上の理由で兵役を免除されたリリースはしばらくボンで過ごすことになり、そこで同郷の出版社ニコラウス・ジムロックにより「2つのピアノソナタ Op.1」を出版、師ベートーヴェンに捧げられました。その後リースの初期作品の多くはジムロック社によって楽譜が出版されました。今回トリオ・パルナッススが録音した作品は、まさにこの時期に書かれたもの。その作品は「ベートーヴェンの不吉な "Opus 61"」。1806年ジムロック社が誇らしげにこのように新作の発表を行いました。"著名な作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの新作ピアノフォルテとヴァイオリン、チェロのための3つの大三重奏曲 作品61"作品番号61というのは今日我々に知られているニ長調のヴァイオリン協奏曲の番号です。なんとも不可解な発売です。1851年ジムロック社が発行したカタログには再びこの作品番号で掲載されていますが、後の版では作品番号61には「作品9参照」と記載されていました。そう1806年に発売されたのは、リースによるベートーヴェンの弦楽三重奏曲作品9のピアノ三重奏版編曲だったのです。ジムロック社の出版については疑問がありますが、ベートーヴェンの作曲を間近で見て熟知していたリースならではの技法で編曲されています。
キングインターナショナル

【曲目】
ベートーヴェン/フェルディナント・リース(1784~1838):
弦楽三重奏 作品9/ピアノ三重奏版編曲
ピアノ三重奏曲第1番ト長調
ピアノ三重奏曲第2番ニ長調
ピアノ三重奏曲第3番ハ短調

【演奏】
トリオ・パルナッスス
【ユリア・ガリッチ(ヴァイオリン)
ミヒャエル・グロス(チェロ)
ヨハン・ブランシャール(ピアノ)】

【録音】
2021年11月26-28日、マリエンミュンスター修道院コンツェルトハウス
制作、プロデュース:ヴェルナー・ダブリングハウス

 

 

vivasacd.hatenablog.com

vivasacd.hatenablog.com