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SACDに特化した偏屈ブログ

ゲルギエフ&ロンドン響のお買い得『ラフマニノフ・ボックス』

Rachmaninov: Complete Symphoni

ゲルギエフ&LSOのラフマニノフがBOXセットになって、ブルーレイオーディオ付きで登場です。
 
交響曲第1番】
本作はラフマニノフの野心作でしたが、1897年に行われた初演が未曾有の大失敗に終わり、ラフマニノフは重いノイローゼとなり作品は封印されました。
今日録音はかなりあるものの、交響曲第2番などと比べ甘いメロディもなく、尖った作品のイメージがあります。しかしゲルギエフの演奏は、初めて聴くかのように新鮮。全体にいびつな感じはなく、むしろラフマニノフならではのしなやかで繊細なフレージングが息づいています。

【交響的舞曲】
ラフマニノフ一流の哀愁と抒情を漂わせたメロディと、リズミカルな要素とがうまくブレンドされた「交響的舞曲」は、病と望郷の念で憔悴のなか持てる精魂を振り絞って回顧するかのように「第1交響曲」や「晩祷」といった自作の引用も特徴的なラフマニノフ最後の作品。

交響曲第2番】
ゲルギエフは、ラフマニノフの第2交響曲を1993年にもうひとつの手兵マリインスキー劇場管とセッション録音しています。このときも当コンビ初のラフマニノフ交響曲録音でしたが、以来15 年ぶりの、第2 交響曲録音となりました。ピアノ曲そのままに、ラフマニノフが思いのたけを込めた甘美なメロディが聴く人の心を強く締めつける第2交響曲。完全全曲版による演奏です。

バラキレフ交響詩「ロシア」】
本作はバラキレフ自作の「ロシアの主題による序曲第2 番」を作曲者自身が改訂したもので、ヴォルガ河流域を調査して収集した3つの民謡(ゆったりした婚礼の歌とふたつの輪舞)をもとに、作中では素材として自在に扱われています。民俗色ゆたかな親しみやすい内容で、こちらも雰囲気満点の演奏が楽しめます。

交響曲第3番】
ラフマニノフがロシアを遠く離れ、およそ20年近くを経た1935年から36年にかけて亡命先のルツェルンで書き上げた交響曲第3番は、切々と迫る抒情と熱くたぎる激情にあふれ、抑えることのできない祖国への思いが色濃く投影された作品。ラフマニノフのトレードマークともいえるグレゴリオ聖歌「怒りの日」が効果的に使われ、交響的舞曲との相関も指摘されるフィナーレもやはりゲルギエフのうまさが全面に出た場面といえるでしょう。

バラキレフ交響詩「タマーラ」】
ゲルギエフの故郷カフカスの音楽素材を用い、リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」を先取りするようなオリエンタリズムの世界を描いています。バラキレフ独特のボルテージの高さがゲルギエフにぴったり。めくるめく極彩色の絵巻として楽しめます。
(キングインターナショナル)

ゲルギエフ&LSO / ラフマニノフ・ボックス』
【曲目】
[DISC1]
ラフマニノフ交響曲第1番 ニ短調Op.13
【録音:2015 年2月19日】
ラフマニノフ:交響的舞曲 Op.45(1940)
【録音:2009年5月7&8日】
[DISC2]
ラフマニノフ交響曲第2番 ホ短調Op.27(完全全曲版)
【録音:2008年9月20&21日】
バラキレフ交響詩「ロシア」
【録音:2014 年11月11&13日】
[DISC3]
ラフマニノフ交響曲第3番 イ短調Op.44
【録音:2014 年11月11&13日】
バラキレフ交響詩「タマーラ」
【録音:2015年2月19日】
[Blu-Ray Audio]
ラフマニノフ交響曲第1-3番、交響的舞曲/バラキレフ交響曲「ロシア」「タマーラ」の順に収録

【演奏】
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
ロンドン交響楽団
【収録場所】
ロンドン、バービカンホール(ライヴ)

[SACD]
STEREO、5.1 マルチチャンネル
※ DISC1 のみ5.0 マルチチャンネル

[Blu-Ray Audio]
5.1 DTS-HD MA 24bit / 192kHz
2.0 DTS-HD MA 24bit / 192 kHz