VIVA!SACD

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SACD (Super Audio CD) is a high-resolution audio disc format developed by Sony and Philips. Utilizing the Direct Stream Digital (DSD) file format, SACD provides for more accurate sound reproduction than the PCM used in the current CD format.

鑑賞感想記 武満徹「秋庭歌一具」伶楽舎 SACDシングルレイヤー

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武満徹:『秋庭歌一具』 伶楽舎

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 2003年発売(録音は2001年)、当時はHYBRIDが無かったのでCDとSACDシングルレイヤーとで。16年も前のアルバムですが、伶楽舎の音楽監督の芝祐靖氏が7月5日に亡くなられたので、追悼の意を込めて。

 

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芝祐靖

芝祐靖氏、一般的にはご存知ない方も多いかと思いますが、1955年から84年まで宮内庁楽師を務め、59年には当時、皇太子だった上皇さまのご成婚にあたり、オーケストラ作品「御成婚祝典序曲」を作曲。退官後の85年には雅楽演奏グループ「伶楽舎」を結成。1998年長野オリンピック開会式で「君が代」演奏。

雅楽家として初となる文化勲章受賞。そして平昌オリンピックでの羽生結弦選手フリー演技で使用された「SEIMEI」は芝祐靖氏の演奏です。


【NHK】【ノーカット実況なし】飛んだ!ほえた!泣いた!羽生結弦、金メダル!<ピョンチャン>

 

簡単に経歴を振り返っても凄いお方だとご理解頂けるかと思います。

 

さて、こちらのアルバム「秋庭歌一具」は日本を代表する現代作曲家、武満徹が1973年国立劇場の委嘱により作曲した雅楽器による「秋庭歌」に5曲を加え全6曲の「秋庭歌一具」(一具:一揃い、一組の意)として完成させたもの。

武満の没後5周年の2001年に、芝氏が高次元の演奏に満を持して挑んだサントリーホールでの記録。芝氏が宮内庁を辞め、フリーとなり伶楽舎を結成したのもこの曲との出会いだったそうですから、その思いは一入。

芝氏がインタビューにて「秋庭歌一具」について

これまで何度もこの曲を演奏してきましたが、未だに曲全体を理解できない程に深い作品です。そして演奏するたびに新たな発見があるのです。
例えば第4章「秋庭歌」は、秋の庭の彩の移ろいを描いた曲です。錦秋というのでしょうか。朝の静けさから始まって、木の葉が色づく鮮やかさ、華やかさ、そして台風の音、木枯らしが吹いて木の葉も落ちる初冬に入るまでを描いています。曲は最後に琴が「ポツン」となって終わるのですが、僕の音の感覚からすると間違えていると思ったのですが、実はこれが春の芽生えを表す音で五行思想の音楽に適っているものだったのです。
おそらくまだこのような音が奥深くに眠っているはずで、この作品を何とか表現したいと思わせる曲なのです。

無表情で演奏することを習っていた私にとっては、どうやったら音楽的に色彩を出せるか、構築する楽しさを感じたのは、この曲だけです。
この曲に出会わなかったら、きっと違う音楽人生を歩んでいたでしょう。宮内庁に居るのもいい人生だと思いますが、後悔はしていません。
雅楽にどうやったら彩りを与えられるか、と考えている時に秋庭歌に出会って、楽しい音楽人生、いい音楽人生を送れていると思っています。

私がこのアルバムを購入したのは2010年。正直、わけわからん!でしたが、今でもわかるなんて言えない深い深い作品。芝氏でさえこう仰るくらいですので、私がわからなくても恥ではありません。

 

龍笛(りゅうてき)、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、高麗笛(こまぶえ)、箏(そう)、鉦鼓(しょうこ)太鼓、鞨鼓(かっこ)、琵琶が使用楽器。

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演奏風景 怜楽舎HPより

 録音プロデューサー、バランスエンジニアはN&Fの西脇義訓と福井末憲

DSD録音エンジニアは鈴悟、録音システムエンジニア尾薗俊彦

プロダクトマネージャーはソニーの杉田元一

2001年4月30日、5月1日サントリーホールでのDSD録音マルチチャンネル

 

芝祐靖、伶楽舎の渾身の演奏をDSDで克明に記録。

わからない、けれどもそれに説得力を持たせる、音と音の間の静寂に宿る感情。50分間の陶酔。。美しい

 

DSD録音SACDを代表する芸術作品

 

残念ながら現在住宅環境等々でマルチチャンネル環境に無いのですが、マルチだとまさにサントリーホールをそのまま切り取ってきたかの様な素晴らしさだそうです。

SACD偏愛者としてマルチチャンネル環境にないなんて、片手落ちと言う他無いのですが。。申し訳ありません。。嗚呼、マルチで聴きたい…

しかし、ステレオでも圧倒的な音、空間美を堪能できます。私はSACD以外でこの作品に没頭できる自信はありません。

ブックレットの解説もこの曲の理解を深めると思いますので、私はごちゃごちゃ言うよりそちらに委ねます。長い付き合いになる1枚と思います。

 

秋庭歌一具武満徹(1979)

 1.参音声(マイリオンジョウSTROPHE
2.吹渡(フキワタシ)ECHO I
3.塩梅(エンバイ)MELISMA
4.秋庭歌(シュウテイガ)IN AN AUTUMN GARDEN
5.吹渡二段(フキワタシニダン)ECHO II
6.退出音声(マカデオンジョウ)ANTISTROPHE

 

笙:宮田まゆみ、三浦礼美、福西賢、石川高、東野珠実、豊明日美、早川順子、近藤静乃、田島和枝
篳篥中村仁美、八百谷啓、田渕勝彦、本橋文、荒川明英、山下美雪、田中康真
龍笛:芝祐靖、笹本武志、平井裕子、角田眞美、中村香奈
高麗笛:岩亀裕子
琵琶:中村かほる
箏:野田美香
鞨鼓:宮丸直子
太鼓:平井裕子
鉦鼓:八木千暁
鞨鼓:松倉利之、吉原すみれ