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SACDに特化した偏屈ブログ

タワレコ限定SACD 晩年のオイストラフ&ベルリン・フィルによる旧EMIへのモーツァルトが遂にSACD化! 究極のモーツァルト演奏のひとつを従来以上の音質で再現。 新規で本国アナログ・マスターテープより復刻

モーツァルト: ヴァイオリン協奏曲全集、協奏交響曲、2つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネ、アダージョ ホ長調、ロンド 変ロ長調、ロンド ハ長調タワーレコード限定>
ダヴィド・オイストラフ 、 イーゴリ・オイストラフベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

タワーレコード

 

これらの1970年から72年にかけてベルリン・フィルと収録を行ったモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集他は、オイストラフによるモーツァルト演奏のひとつの完成形としてあまりにも名高い盤です。晩年の円熟期に描かれた録音にはモダン楽器、モダン奏法による究極の姿が記録されています。マスターテープの状態も良く、今回の復刻では芯のあるオイストラフらしい音色が艶やかなまでに蘇りました。本国のオリジナル・アナログ・マスターテープから192kHz/24bitでデジタル化したマスターを用い、SACD層、CD層別々にマスタリングを行っています。新規解説付。永久保存盤です。

1970年11月から1972年3月にかけて、ウクライナ出身の大ヴァイオリニスト、ダヴィド・オイストラフ(1908~1974)が名門ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を弾き振りして録音したモーツァルトの「ヴァイオリンと管弦楽のための作品集」を3枚組に集成しました。この時期、オイストラフモーツァルトに集中して取り組んでいて、ヴァイオリン・ソナタ集の録音も行いました(「モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ撰集」(TWSA-1037)としてSACD化)。デュオ・パートナーは音楽学者でもあったパウル・バドゥラ=スコダ(1927~2019)でした。ドイツ語に堪能だったオイストラフはバドゥラ=スコダのモーツァルトに関する著作を読み、彼のモーツァルト解釈に一目を置いていました。自分と対話しながら演奏できる「本物の」パートナーとして彼を選んだと述懐しています。

モーツァルトの協奏曲を弾き振りする際、「本物の」パートナーとして選ばれたのがベルリン・フィルでした。ベルリン・フィルは世界最高のオケであるうえに、オイストラフ音楽監督カラヤンと懇意にしていたことなどが理由と思われます。

ヴァイオリン協奏曲第1番はオーケストラの呈示部から、楷書風に丁寧で、よく歌い、リズムの弾力にみちた音楽が、小編成のベルリン・フィルの艶やかで豊かでピラミッド状の響きを得て、勢いよく流れだす感があります。オイストラフのヴァイオリンも細部に至るまで発音が明確で、音色は輝かしい高域から翳りが濃く力強い低域(とくにG線の意味深さ!)まで実に幅広く、音楽の流れはいささかの停滞もなく、オーケストラとのコンビネーションも指揮を兼ねているだけに理想的です。イタリア風の第1番に対し、フランスのギャラント様式の影響が色濃い第2~5番の様式の違いに関しては、それぞれの終楽章の演奏に明らかです。第1番の終楽章は快速調で、演奏も光輝の限りを尽くす、といった感がありますが、第2~5番の終楽章はまさにフランス趣味のロンドで、とくにヴァイオリンから始まる第2、4、5番のおっとりとしたテンポと表情は、昨今の時代考証演奏とは全く違う曲を聴く感があります。
カデンツァの選択にもオイストラフらしさが現れています。第1番ではモスクワ音楽院教授のモストラスの作、第4番と第5番では19世紀のドイツの名手二人、ダヴィッドとヨアヒムの作を使用し、ヴァイオリンの演奏伝統を重視した姿勢を示し、第2番、第3番、アダージョK.261では自作し、カデンツァ本来のあり方を示しています。

協奏交響曲では、自分はヴィオラに回り、息子のイーゴリをヴァイオリンに立て、麗しい父子共演を聴かせています。二人の演奏は力強い活気だけでなく落ち着いた気品があり、ベルリン・フィルの弦の柔らかさ、浮遊するような管の感触も相まって、天上の音楽のように響きます。

ここには、単にモーツァルトの名作の美しい再現にとどまらない、1972年時点でのモダン楽器とモダン奏法、新古典主義的な音楽観による究極のモーツァルト演奏が記録されています。それ以前のモーツァルト演奏を知る上でも、それ以後の多様化したモーツァルト演奏を知る上でも、掛け替えのない価値をもっています。それらが完成期のアナログ・ステレオ録音によって最上の音質でとらえられ、半世紀後の最新のデジタル技術により、ここに蘇りました。

今回、本国にあるオリジナルの2Chのアナログ・マスターテープから、192kHz/24bitでデジタル化を行ったフラットマスターを使用し最新でマスタリングを行っています。マスターは総じて整ったバランスであり、経年変化も少ない良い状態でした。そのため、極力オリジナルのバランスを重視し、音楽的な観点でのマスタリングを心掛けました。それにより音場的な遠近感も含め楽器の距離感や奥行きなど見通しが良くなり、さらに定位が向上したことでストレスなく最上の演奏をお楽しみいただけます。尚、解説書には新規解説を掲載しました。
このシリーズでは、SACD層では伸びのある高域と柔らかなニュアンスと共に高い解像度と豊かな音場を、CD層はまとまったしっかりとした音と共に押し出される実在感ある音色を目指しています。CD自体のポテンシャルも高く、むしろ両方の良さを堪能できるSACDハイブリッド盤としてもお楽しみください。今回のDefinition Series第47弾は、1タイトルを発売いたします。

【曲目】
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト:
<DISC1>
1. ヴァイオリン協奏曲 第1番 変ロ長調 K.207 (カデンツァ:K.モストラス)
2. ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ長調 K.211 (カデンツァ:D.オイストラフ)
3. ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216 (カデンツァ:D.オイストラフ)

<DISC2>
4. ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218 (カデンツァ:F.ダヴィッド)
5. ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219 『トルコ風』 (カデンツァ:J.ヨアヒム)

<DISC3>
6. 協奏交響曲変ホ長調 K.364(320d) (第1・第2楽章はモーツァルト自身によるカデンツァ)
7. 2つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネ ハ長調 K.190(186e)
8. アダージョ ホ長調 K.261
9. ロンド 変ロ長調 K.269(261a)
10. ロンド ハ長調 K.373 (カデンツァ:D.オイストラフ)

【演奏】
ダヴィド・オイストラフ(ヴァイオリン(1-5,7-9)、ヴィオラ(6)&指揮)
イーゴリ・オイストラフ(ヴァイオリン)(6)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

【録音】
(Disc 1) III, 1971(1), 14, IX,,1971(2), 22 & 23, III, 1971(3)
(Disc 2) XI, 1970、 (Disc 3) III, 1972 (6,7), IX, 1971 (8-10)
Zehelendorfer Gemeindehaus, Berlin

【Original Recordings】
Producers : Ronald Kinloch Anderson & David Mottley
Balance Engineer : Wolfgang Gulich

【原盤レーベル】
Warner Classics(旧EMI音源)

 



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