シューマン:ミサ曲 ハ短調
カスパルス・プトニンシュ 、 スウェーデン放送合唱団
ロベルト・シューマンが宗教音楽に対して深い関心を寄せていたことはあまり知られていないものの、彼は、1850年代になると《マタイ受難曲》や《ミサ曲 ロ短調》といったバッハの宗教作品を積極的に演奏し、1852年には《ミサ曲 ハ短調》の作曲にとりかかり、翌年、完成させました。この作品の当時の評価は全般に低く、楽譜の出版も全曲の初演も彼の生前には行われませんでした。しかし、「洗練されたポスト古典の音楽語法」によって宗教音楽に新しい風を呼ぶ試みは、今、あらためて見直されてきています。
「ミサ・サクラ」《ミサ曲 ハ短調》は、混声合唱と独唱者と管弦楽のための作品として構想され、「混声合唱、独唱者とオルガン」の版が作曲者自身によって作られました。「Ziemlich langsam(かなり遅く)の〈キリエ〉「Lebhaft, nicht zu schnell(活き活きと、速すぎず)」の〈グローリア〉「MaBig bewegt(中庸の速さで)」の〈クレド〉〈オフェルトリウム〉「Langsam(遅く)」の〈サンクトゥス〉「Ziemlich langsam(かなり遅く)の「アニュス・デイ」。ミサ通常文による6つの部分の作品です。
《4つの二重合唱曲》も、過小評価されてきた作品です。聖と俗を結びつけたテーマによる4曲は、シューマンの合唱音楽の手法の頂点といわれ、「二重合唱」という編成によってテーマ表現の効果が音楽的に強調されていることが指摘されています。
スウェーデン合唱団を指揮するラトビアのカスパルス・プトニンシュ(1966-)は、ラトビア放送チェンバーシンガーズの創設者として知られます。BISRecordsに録音したラトビア放送とオランダの放送合唱団を指揮したヴァスクスとラフマニノフ、2014年から芸術監督と首席指揮者を務めるエストニア・フィルハーモニック室内合唱団とのシュニトケとペルトの宗教的合唱作品(BIS SA-2292 / BIS SA-2521)や Diapason d'Or に選ばれたラフマニノフの《聖ヨハネス・クリソストムスの典礼》(BIS SA-2571)など、いずれも高い評価を獲得してきた録音です。
キングインターナショナル【曲目】
シューマン:
(1)ミサ曲 ハ短調 Op.147~混声合唱、独唱者とオルガンのための(1852-53)
(2)4つの二重合唱曲
【星へ(An die Sterne)/おぼろな光(Ungewisses Licht)/信頼(Zuversicht)/お守り(Talismane)】 Op.141~アカペラ混声合唱のための(1849)【演奏】
(1)カトリン・ロレンツェン(ソプラノ・ソロ)(グローリア)
(1)イェンニ・エーリクソン・ヌーディン(ソプラノ・ソロ)(オフェルトリウム)
(1)リーサ・カーリオート(ソプラノ・ソロ)(サンクトゥス)
(1)マッツ・カールソン(テノール・ソロ)(サンクトゥス)
(1)ラーシュ・ユーハンソン・ブリスマン(バリトン・ソロ)(サンクトゥス)
(1)ユーハン・ハンマルストレム(オルガン)
スウェーデン放送合唱団
カスパルス・プトニンシュ(指揮)[楽器 Organ: Marcusson & Sons, 1971-72]
【録音】
2022年6月14~17日、11月29日/聖マタイ教会(ストックホルム)
制作・録音エンジニア:マリオン・シュヴェーベル