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SACDに特化した偏屈ブログ

パン・フルートとパイプ・オルガンによるアルバム ドレスデン聖十字架教会での優秀録音

パン・フルートとパイプ・オルガン  Pan Flute and Organ 
セバスティアン・パッヘル 、 ホルガー・ゲーリング

Sebastian Pachel (pan flute) Holger Gehring (organs of Kreuzkirche Dresden)
Nora Koch (harp)

タワーレコード

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MD+G

パン・フルートとパイプ・オルガンによるアルバム。パイプ・オルガンの先祖パン・フルートは、竹や葦などのパイプを音階順に並べたシンプルな構造ですが、オルガンの音色とも相性の良い素朴で美しい音色を奏でることができます。パン・フルートはギリシャ神話の牧神パンに由来します。牧神パンはシランクに一目惚れし、強引に彼女に迫っていました。パンの誘惑から逃げていた彼女は川のほとりに追い詰められ、川の妖精の力で葦に姿を変えられてしまいました。パンは葦になってしまったシランクスを恋しがり、その葦を数本切り落とし、葦笛を作って肌身離さず持ち歩いた…。その悲しげで繊細な音を奏でる葦笛は後に「パン・フルート」と呼ばれ、現在までその名を残しているという伝説があります。

このCDプログラムには、バッハ、メルケルフォーレバルトークの作品をパン・フルートとオルガンのために新たに編曲したものが収録されています。現代では様々な形状のパン・フルート(パンパイプ)がヨーロッパ、南米、アフリカ、アジアなど世界中に存在しますが、最も盛んで発達しているのはルーマニア。このアルバムにもバルトークルーマニア民俗舞曲、そしてアンコールとして録音されたこちらもルーマニアの民謡をもとにしたアンゲリウス・ディニクのパン・フルートのためのオリジナル曲「チョカルリア」を収録しています。

そして録音場所であるドレスデン聖十字架教会は、ドレスデン市の主要な教会音楽のひとつであり、高さ92メートルを誇るザクセン州最大級の教会で、大きなイェームリヒ社製のオルガンを要しています。2004年よりドレスデン聖十字架教会のクロイツオルガニストを務めているホルガー・ゲーリングとパン・フルートのパイオニア的存在のセバスティアン・パッヘルの演奏は素晴らしく、またMDGの立体的な録音がパン・フルートの繊細な音色を見事に捉えています。もちろんその構造は似ていることもありますが、朗々と教会に響くオルガンとソロ楽器として対抗できる力を秘めた楽器ということを実感させられる1枚です。
キングインターナショナル

【曲目】
J.S.バッハ:
・オルガン協奏曲 イ短調 BWV 593
カンタータ「神の時こそいと良き時」BWV106
カンタータ「霊と心は驚き惑う」 BWV 35
無伴奏フルートのためのパルティーイ短調 BWV1013(パンフルート独奏)
カンタータ「心と口と行いと生活で」BWV147
・おお主なる神、われを憐れみたまえ BWV721
・主イエス=キリスト、われらを顧みたまえ BWV 655
・協奏曲 ニ長調 BWV 972
グスタフ・メルケル(1827-1885):幻想曲第5番ニ短調Op.176
フォーレ:
・3つの歌Op.23[第1番:ゆりかご(パンフルートとハープの二重奏)、第2番:私たちの愛、第3番:秘密]
・レクイエム ニ短調 Op.48~ イン・パラディスム(パンフルート、オルガン、ハープの三重奏)
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲
[ボーナス・トラック]
アンゲリウス・ディニク(1838-1905):チョカルリア(「ひばり」より)

【演奏】
セバスティアン・パッヘル(パンフルート)
ホルガー・ゲーリング(オルガン:イェームリヒ製/BWV 721:ヴェヒシャイダー製)
ノラ・コッホ(ハープ)

【録音】
2022年9月27-29日、ドレスデン聖十字架教会

 

 

 

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