VIVA!SACD

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SACDに特化した偏屈ブログ

綾戸智絵 「GOOD LIFE」

GOOD LIFE

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01. When The World Turns Blue
02.Change The World
03.La Vie En Rose
04. Mas Que Nada
05. Don't Let Me Down
06. Precious Lord
07. Tears In Heaven
08. It's Impossible
09. You Don't Know Me
10. Old Folks
11. Nature Boy
12. And I Love You So
13. Ban Ban Ban
14. I'll Be Your Lover, Too
15. The Good Life

 

2009 SACD/CD HYBRID STEREO  AUDIOPHILE COATING

 

 

TV番組やCMでも強烈な個性で御馴染み、上戸・・じゃなくて綾戸智絵。母の介護に専念し、1年のブランクを経ての再スタート盤。この作品が10枚目のSACDでのリリース。
けして「上手い」という歌手ではないと思いますが、その個性はキャラ同様強烈。その個性ゆえ好悪が分かれると思いますが・・私も苦手だったのですが・・SACDだからという理由だけでライヴ盤「TO YOU」を購入した時に随分TVで聴くのと印象が違っていいぞ?となり今作も購入。

 

ジョー・サンプルの曲で幕を開けますが、これがあの綾戸智絵か?と思うほど深みのある、哀愁と優しさを備えた歌、そしてピアノ・・音の良さにも引き込まれます。製作はmimi-tabという会社でプロデュース、レコーディング&ミックスエンジニアは広兼輝彦。彼の仕事はいつも素晴らしい。マスタリング・エンジニアは私は日本人では一番好きな鈴木浩二SONY

 

エリック・クラプトンビートルズセルジオ・メンデス、などジャズファン以外にも御馴染みの曲のカヴァーや意外な線ではスパイダーズの「とぼけた顔してババンバーン」の英詩カヴァー(私、スパイダースも好きなんです。凄いグループですよ)などバラエティに富んだ選曲を「綾戸ワールド」に引き込んでいる。長年売れている歌手といえば松任谷由美中島みゆきらが思い浮かぶが、彼女らもけして上手い歌手ではなく(むしろ下手だろう)、個性的なミュージシャン。上手ければ人も心を打つとは限らず、現に上手くても埋もれたままの才能は数多い。綾戸智絵も誰にも似ていない、一聴すれば「ああ、綾戸だ」と分かる個性があるのが強みだ。個性的過ぎて拒否感を生む事は否めないが、一旦受け入れればその個性が心地よい。最近フニャフニャ歌ってるだけの日本人(なんちゃって)ジャズヴォーカルが多いが、雰囲気だけのものより良いと思う。

 

個人的な好き嫌いはあっても、まずはその作品の、アーティストの伝えたい事などを素直に対峙しまずは受け入れてみる事も本当に理解するのに重要な事だろう・・と考えさせられた。その後で評価が分かれるのは仕方ないにしても、だ

 

さて、作品の評に戻るが

 

綾戸のピアノはいい。本人曰く「鍵盤の上をトゥーシューズで踊るみたいに弾く」との事だが、個人的にはヴォーカルよりピアノプレイに耳を惹かれる。SACDでその音色が余計に美しいのもあるだろう。
がなる場面では「下品」ともとれるヴォーカルとのコントラストも彼女を楽しむひとつとも言えるかもしれない。

 

宮野 弘紀(g、8・11)西嶋徹(b、2・4・8・11・13)田中倫明(パーカッション、2・4・8・11・13)金子雄太(オルガン、2・4・6)
の仕事も良い。特に今回新たに綾戸バンドに加わったというオルガンの金子雄太はいい。とてもマッチしている。
弾き語りと交互に織り成す構成が飽きさせず、かつスタジオの熱気も伝わってきて良い。

 

パフォーマンス:★★★★
音質:★★★★☆
満足度:★★★★
お薦め度:★★★★
総合評価:84

 

個人的には予想以上に楽しめた。彼女ほどの知名度であればCDリリースで利益優先でも良いところを「より良い音で届けたい」との思いでSACDリリースする姿勢は最大限に支持したい。レーベル面を緑コーティングし、乱反射を防いでより高音質にとの仕様という懲り方だ。
これまで毛嫌いしていたミュージシャンでしたが、先入観が強すぎたという反省も生んだ。
SACDでより音楽と対峙する事の面白さが芽生えた結果だろう。音楽は様々な事を学ばせてくれるなぁと改めて実感。表面をなぞるだけではあまりに勿体無い。