1972年オランダ・アムステルダム生まれのチェリスト、キリーヌ・フィールセン(Quirine Viersen)。父はロイヤルコンセルトヘボウ管のベテラン・チェリスト、イケ・フィールセン。ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽院にてハインリヒ・シフに師事し、ロストロポーヴィチ国際コンクール、ヘルシンキ国際チェロ・コンクール、チャイコフスキー国際コンクール等に入賞という経歴。
バッハ無伴奏チェロは2010年の
以来2度目の全曲録音。あいにくこちらはSACD未聴で。欲しい欲しい思ってた時に新録音情報があったので。
010年の録音は長女が誕生してすぐの事で、彼女の新たなスタートであったと言います。しかしその2年後、彼女は双子の娘を出産したそうで、忙殺される中からかチェリストとしての自分に疑問を感じ、再びチェロと向き合うのには、やはりバッハ無伴奏だったそうです。
新興レーベルBarcanovaからのリリースで、このレーベルの2枚目の作品。
第一弾の
CAMERATA RCO/BACH GOLDVERG VARIATIONS STRING TRIO
- アーティスト: Camerata RCO
- 出版社/メーカー: BARCANOVA RECORDS
- 発売日: 2017/12/01
- メディア: CD
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と同じく、ジャケット写真には香港のカメラマン、ファン・ホーの作品が使用されています。印象深い素敵な写真です。録音は2018年3月~4月、エンジニアはBert van der Wolf。記載は無いですが、DSDもしくはDXD録音と思われます。
現代バッハ無伴奏の名盤と言えば
2004年櫻井卓によるDSD録音、マスタリング杉本一家の鈴木秀美盤。こちらは「悠久」の、まさにバッハの「宇宙」を感じさせる、残響豊かな、そしてバロック・チェロの優しい響きが極上の、SACDユーザーなら必携の1枚ですが
キリーヌ・フィールセンの新録音は残響は控えめで「漆黒」 と言える静寂感の中に
キレとコクのあるチェロの音色が響きます。音の消えゆく様が実に美しい、かなりの優秀録音。
演奏は正統派と呼べる折り目正しい、軽やかで聴いていて心地良く、母親という予備情報からか「慈愛」を感じさせる。
使用楽器は以前はアンドレ・ナヴァラが使用していたという1715年製のヨゼフ・グァルネリ・フィリウス・アンドレア(Joseph Guarnerius Filius Andreae)。弓はシフから贈られた物だという。
演奏、録音共に優れた(★5つの満点評価)おススメ盤です。
ナヴァラのバッハ無伴奏チェロもSACDで。こちらは迫力の「漢」な演奏と録音。
Suites for Violoncello Bwv 1007-1012
- アーティスト: J.S. Bach
- 出版社/メーカー: Phaia Music
- 発売日: 2013/03/26
- メディア: CD
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