ハンヌ・リントゥによる「ルトスワフスキ:交響曲全集」の第2集。今回のアルバムに収録されているのは、新古典主義の作風から少しずつ脱却を図った時期に書かれた「交響曲第2番」と、完全に自身の作風を確立した1980年代の「交響曲第3番」の2曲。交響曲第2番は、コラージュ的な手法を採り入れることで多彩な音の動きが追求されており、冒頭のファンファーレ風の旋律は混沌の波に取り込まれ、第2楽章の後半で激しい動きへと変化します。交響曲第3番はシカゴ響の委嘱曲。1972年から取り掛かったものの出来栄えに満足せず、結局11年かけて完成したというルトスワフスキの苦労がしのばれる作品です。交響曲第2番で萌芽した「管理された偶然性」(指揮者の手を離れ、アドリブをする箇所があることで、管理している部分が際立つ)が発揮されたユニークな作品です。複雑な曲を得意とするリントゥの手腕が冴える目覚ましい演奏を素晴らしい録音で。
ナクソス・ジャパン【曲目】
ルトスワフスキ(1913-1994):交響曲 第2番&第3番交響曲 第3番(1983)
1.第1楽章:Vivo - Lento - Vivo - Lento - Vivo - Stesso movimento - Lento -
2.第2楽章:Vivo - Stesso movimento - Lento -
3.第3楽章:Vivo - Stesso movimento - Adagio - Piu mosso - Lento -
4.第4楽章:Vivo - Poco meno mosso - Meno mosso -
5.第5楽章:Tempo I -
6.第6楽章: Meno mosso - Tempo I - Meno mosso - Tempo I - Meno mosso -
Ancora meno mosso -Piu largo - Tempo I - Lento - Vivo - Lento - Vivo -
7.第7楽章:A tempo - Poco meno mosso - Presto -Stesso movimento - Poco lento - Allegro交響曲 第2番(1967)
8.第1楽章:Hesitant
9.第2楽章:Direct【録音】
2018年11月26-30日
ヘルシンキ・ミュージック・センター,フィンランドOndine
Lutoslawski: Symphonies 1 & 4 - Lintu