ペルト: ヨハネ受難曲
ニルス・シュヴェケンディーク 、 ヘルシンキ室内合唱団 、 サンポ・ハーパニエミ
SACDハイブリッド盤。アルヴォ・ペルトの音楽は、古くからの宗教的伝統と結びつきながら、現代の精神性を言葉で表明することに大きな特徴があると言われます。彼は、1960年代にモダニスト・スタイルの作品から出発、1970年代を経たころから、禁欲的で内省的な作品を多く手がけるようになりました。その簡素化と黙考が頂点に達した作品が、1982年に完成された《ヨハネ受難曲》です。正式曲名「『ヨハネによる福音書』によるわれらがイエス・キリストの受難(Passio Domini Nostri Jesu Christi secumdum Joannem)」。この作品では、「受難曲」と結びつけられることが一般的な「ドラマ」と「感情の高ぶり」を避け、キリストの受難という物語は「厳粛な瞑想」の枠組みとしてだけ使われています。バリトンがイエス、テノールがピラトの言葉を歌い、ストーリーを語る福音史家は、ソプラノ、アルト(またはカウンターテナー、メゾ・ソプラノ)、テノール、バスの四重唱が、ヴァイオリン、オーボエ、チェロとファゴットの合奏をともなって歌います。
ペルトの音楽は、中世のモノフォニックなスタイルを顧みながら進み、キリストの磔刑で頂点を迎えます。
シュヴェケンディークとヘルシンキ室内合唱団は、ラウタヴァーラの《ヴィジリア》(BIS SA-2422)を録音、「強烈な体験……誠実で人の心に強く訴えかける作品の素晴らしい新録音」と「MusicWeb Internationao」から評されました。
ペルトの《ヨハネ受難曲》は、2020年10月、ヘルシンキの聖パウロ教会にてセッション録音されました。バリトンのサンポ・ハーパニエミは、フィンランド国立オペラ・バレエに所属、テノールのマルッティ・アンティラは、ヘルシンキ室内合唱団でマネージャーとヴォイス・トレーナーを務めています。オルガニストのヤン・レヘトラは、シベリウス・アカデミーの教会音楽科を卒業後、アムステルダム、シュトゥットガルト、リヨン、パリで学びました。サン=サーンスの《前奏曲とフーガ》と《幻想曲》を弾いたアルバム(Alba / ABCD-225)をはじめとする多くの録音でも知られます。
キングインターナショナル【曲目】
アルヴォ・ペルト(1935-):
《ヨハネ受難曲》~独唱者、混声合唱、器楽奏者とオルガンのための(1982)【演奏】
サンポ・ハーパニエミ(バリトン/イエス)
マルッティ・アンティラ(テノール/ピラト)
リンネア・スンファール・カサリー(ソプラノ/福音史家)
シルック・リンタマキ(メゾ・ソプラノ/福音史家)
マッツ・リルハンヌス(テノール/福音史家)
ユッシ・リンナンマキ(バス=バリトン/福音史家)
ヤン・レヘトラ(オルガン)
ラウラ・ヴィークマン(ヴァイオリン)
アンニ・ハーパニエミ(オーボエ)
マルコ・ユロネン(チェロ)
ミッコ=ペッカ・スヴァラ(ファゴット)ヘルシンキ室内合唱団
ニルス・シュヴェケンディーク(指揮)【録音】
セッション録音
2020年10月26、27&29日
聖パウロ教会(ヘルシンキ、フィンランド)プロデューサー&サウンド・エンジニア:
ハンス・キプファー(Take5 Music Production)