ブラームス: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
矢部達哉 、 朝比奈隆 、 新日本フィルハーモニー交響楽団
1995年1月22日、朝比奈隆は14年ぶりにシューベルトの交響曲『グレイト』(FOCD9359)を演奏します。オーケストラは、コンサートマスター矢部達哉が率いる東京都交響楽団。朝比奈はこの5日前に神戸の自宅で大震災に遭遇するものの、予定通り20日からのリハーサルに臨みました。『未完成』との組み合わせによる公演への情熱は、87歳の巨匠を多くの聴衆が待つ東京へと向かわせたのです。
リハーサル時から強烈なオーラを放つ朝比奈の指揮、それに呼応した矢部をはじめとする都響メンバーのひたむきな演奏は、奇跡的ともいえる演奏会を成功裡へ導きます。無感量の朝比奈は、公演後翌年の<ブラームス チクルス>のソリストに矢部を指名、その後計4回の共演を果たすのでした。
記念すべき1996年の演奏---交響曲以上にシンフォニックな重厚感あふれる朝比奈/新日本フィルの響き、そしてこの上ない美音に彩られたロマン溢れる矢部の妙技は、この作品の演奏に堂々たる足跡を刻むものと申せましょう。
歴史的名演の登場です。
(フォンテック)ブラームス ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
矢部達哉(ヴァイオリン)
朝比奈隆 (指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団1996年5月3日 サントリーホール ライヴ収録