VIVA!SACD

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SACDに特化した偏屈ブログ

<渋谷店CLASSIC専門フロア移設オープン記念>シュヒター没後50年企画 N響常任指揮者時代にステレオ収録された貴重音源をマスターテープから最新復刻。フルート協奏曲第2番以外は初DISC化!厳格なまでに作り上げられたアンサンブルがSACDで蘇る!世界初SACD化

シュヒター&NHK交響楽団 ビクター・ステレオ録音集(ムソルグスキー: 展覧会の絵モーツァルト: フルート協奏曲第2番、ブラームス: ハンガリー舞曲、他)<タワーレコード限定>
ヴィルヘルム・シュヒター 、 NHK交響楽団 、 吉田雅夫

タワーレコード

 

1959年~62年に録音されたシュヒターの貴重録音を復刻。当時ステレオで録音された音源は多くはモノラル放送されましたが、リスナーからの要望に応えビクターからレコード化が行われました。今回は当時のマスターテープからマスタリングを行い、フルート協奏曲第2番以外DISC化されていなかった音源を含め最新復刻します。シュヒターがN響に在籍したのはわずか3年間。その短い間にN響を世界レベルに引き上げた功績は大きく、記録音源の復刻が望まれていました。今ここに貴重な作品を最高品質でお届けします。

1926年に創立したN響98年の歴史の中で、そのアンサンブルを飛躍的に向上させた指揮者として常に名前が挙がる人、それがヴィルヘルム・シュヒター(1911~74)です。シュヒターは1959年3月にN響の常任指揮者に就任し、3年間の任期の中で、放送オーケストラとしての徹底した訓練と、楽員の約1/3を入れ替えるという大ナタを振るい、アンサンブルの土台を見事に築き上げ、その後のN響の発展に結びつけました。

シュヒターはケルン音楽大学で指揮法をヘルマン・アーベントロートに師事。1941~42年にアーヘン市立歌劇場で第一指揮者を務め、音楽総監督カラヤンの篤い信頼を獲得。1957年11月のカラヤン指揮ベルリン・フィルの来日公演に副指揮者として同行し、11月21日には午前中にN響を指揮してチャイコフスキー交響曲第5番を放送用に録音、午後は飛行機で仙台に飛んで、急病のカラヤンに代わってベルリン・フィルを指揮する、という離れ業を演じました。これはアーヘン時代からシュヒターを重用したカラヤンが仕掛けた「お見合い」だったらしく、ほどなくしてN響の常任指揮者就任が決定しました。

シュヒターが考える"録音"は、可能な限り"完璧"を求めるもので、完璧なテイクだけを細かくテープを繋いで編集し、完璧な全曲を作り上げることを常としていました。N響のメンバーやテープの編集担当はシュヒターの完璧主義によって精度の高い仕事を求められるようになりました。しかし、その成果は明らかでした。音楽評論家の野村光一はシュヒター退任に際し「若返ったN響は、氏の要求に十分応える能力を持っていたのだった。現在のN響は、弦も管も物凄く鳴っている。音色、音量、強弱など欠けるところがない。日本のオーケストラで、この域に達したことはかつてない」と『フィルハーモニー』1962年4月号に記しています。音楽ファンの人気も高く、NHKは退任演奏会が開かれた1962年3月25日まで8夜連続で「シュヒター・N響連続演奏会」を放送(ラジオ第2)したほどでした。

ここにSACDハイブリッド化された音源は、1963年にビクターが「N響シンフォニー・ホール」と題して、シュヒター&N響のステレオ音源をLP3枚で発売した時のものを使用しています。当時FMは開局前で、ステレオ放送はNHKの中波2波を使った日曜日の1時間番組「立体音楽堂」のみ。せっかくのステレオ録音もほとんどはモノラルで放送されていました。この辺りが当時のビクターがステレオLPを企画した理由と考えられます。

収録曲のうち、モーツァルト:フルート協奏曲第2番以外はすべて初出LP以来の初ディスク化となる貴重な音源です。ムソルグスキー展覧会の絵》はスピード感に満ちたダイナミックな表現が素晴らしく、その中で旋律をよく歌わせた「古城」や表情が千変万化する「リモージュの市場」、輝かしい色彩が炸裂する「キエフの大門」など豊かな音楽表現を聴かせます。モーツァルトのフルート協奏曲での柔らかく優美な旋律の歌、ゆったりとした進行、愉悦の表情を聴くと、シュヒターの職人芸の奥にある温かな音楽性に触れる思いがします。序曲や舞曲の小品は何れも楽しい演奏ですが、それぞれの曲想を巧みに捉え、作曲家のスタイルを見事に描き分けた深い知性、それを美しく仕上げる審美眼の高さに唸らされます。さすがカラヤンが全幅の信頼を置いた指揮者だけあります。

シュヒターは帰国後、1962年よりドルトムントフィルハーモニーの音楽総監督を務め、1966年からはドルトムント歌劇場の総監督も兼任し、同地のオーケストラを飛躍的に発展させましたが、1974年5月27日、脳出血のため62歳で急逝しました。没後50年、今回の復刻はシュヒターの芸術を鮮明なステレオ録音で伝える最良の遺産と言えるでしょう。

今回の復刻では、ビクターが温度管理も含め厳重に保管していたオリジナルの2chのアナログ・マスターテープを用い、録音当時も使用していたスチューダーのA-80で再生した音源をSACD層用にはDSDでダイレクトに、CD層用には同じくDSD化された音源を基に出来るだけ工程ロスを減らしたピュアな方法で44.1kMzに変換しています。製品化にあたってはスタジオでマスターテープと比較の上、DSD2.8MHz、DSD5.6MHz、DSD11.2MHz、PCMは44.1kHzから192や384等、可能な限りのレートで試聴を行った上で、DSD2.8MHzのダイレクトを採用しました。これは、SACDのフォーマットが2.8MHzのため工程で一番ロスが少ないこと(他のレートでは最終的に2.8MHzに変換するため工程が多くなる)で、楽器の質感や音色が一番アナログ・マスターテープに近かったことによります。もちろん、音楽性を重視した最小限のマスタリングに留めています。そのため、本来のアナログ・マスターテープに極めて近似した音を再現できました(展覧会の絵のみ、サーフェスノイズの成分が比較的多めでしたが、あえて除去せずそのままとしています)。尚、CD層はDSD化音源を使用し調整しています(今回、全工程は広義な意味も含め「マスタリング」という言葉を使用しています)。当時のビクターによる録音技術の粋を集めた素晴らしい音源が、今回の復刻ではまさに蔵出し的な意味合いも十分感じられる出来に仕上がっていますので、現在の技術を用いたこの素晴らしい録音を最大限お楽しみいただけます。

尚、解説書には貴重なLP初出時の各解説と、新規で序文解説を掲載しました。また、ジャケットはLP初出時のデザインを基に文字等を加工の上で使用していますが、解説書に各オリジナルのジャケット・デザインを一部採用しています。

【曲目】
<DISC1>
1. モデスト・ムソルグスキー:組曲展覧会の絵」(ラヴェル編)
2. ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト:フルート協奏曲 第2番 ニ長調 K.314a
<DISC2>
3. リヒャルト・ワーグナー:「ローエングリン」第3幕 前奏曲
4. エクトル・ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 Op.9
5. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 Op.62
6. ヨハネス・ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番 ト短調、第2番 ヘ長調、第5番 ト短調、第6番 ニ長調
7. アントン・ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 第2集 Op.72、B.145 : 第10番 ホ短調
8. エドヴァルド・グリーグ:ノルウェー舞曲 Op. 35 : 第2番 イ長調
9. ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト:4つのドイツ舞曲 K.602 No.3 ハ長調
10. ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト:6つのドイツ舞曲 K.600 No.5 ト長調
11. ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト:3つのドイツ舞曲 K.605 No.3 ハ長調

【演奏】
吉田雅夫(フルート) (2)
NHK交響楽団
ヴィルヘルム・シュヒター(指揮)

【録音】
1950年代後半~1960年代前半(ステレオ録音) *各曲の録音日は不明なため、判明している範囲で以下に収録場所と放送日を明記
展覧会の絵(不詳)、フルート協奏曲(都市センターホール 放送:1960.5,8)、ローエングリン(不詳)、ローマの謝肉祭(場所不明 放送:1962.3.23)、コリオラン(杉並公会堂 放送:1960.6.8)、ハンガリー舞曲第1番&第2番(不詳)、同5番&第6番(場所不明 放送:1959.10.18)、スラヴ舞曲(場所不明 放送:1960.5.8)、ノルウェー舞曲(不詳)、ドイツ舞曲(不詳)

【マスタリング・エンジニア】
袴田剛史(FLAIR Mastering Works)

【原盤】
ビクターエンタテインメント

 

 

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